2015 Fiscal Year Research-status Report
ロコモティブ・シンドローム合併心臓血管病の早期診断とハイブリッド運動療法の介入
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15K08757
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
佐々木 健一郎 久留米大学, 付置研究所, 講師 (70320190)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ロコモティブ症候群 / レジスタンストレーニング / 慢性心臓血管病 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究-1) 慢性心臓血管病入院患者におけるロコモティブ症候群合併静態調査は現在まで約150名の対象者に実施しており、一方で一般健診者約220名を対象とした比較静態調査も実施した。男性健診者においてロコモティブ症候群合併調査に十分な協力が得られなかったため、現時点では75歳以下の女性対象者間に限定した結果ではあるが、同年齢層の入院患者群において有意な上腕周囲径の低下、大腿周囲径の低下、四肢骨格筋量の低下、握力の低下、下肢伸展筋力の低下、立位移動能力の低下(TUGテストにおける移動所要時間の延長)、骨密度の低下(若年者平均値割合の低下)を認め、ロコモティブ症候群を高率に合併している状況が示唆された。 (研究-2) 慢性心臓血管病の外来患者10名に対し、「ハイブリッド・トレーニングシステム」を用いた下肢伸展屈曲運動療法を実施した。慢性心不全例6名、末梢動脈疾患例4名を内訳として6か月間の予定実施期間を満了できた対象者は9名(9割)であった。慢性心不全例では実施6か月後の胸部レントゲン写真で半数に心胸郭比の低下、血液検査で半数にNT-proBNP値の低下を認めた。慢性の末梢動脈疾患例(閉塞性動脈硬化症3例、バージャー病1例)ではバージャー病例において疼痛の軽快や皮膚潰瘍の改善を認めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当包括医療費支払い制度方式(DPC)対象病院として「機能評価係数Ⅱ」の上昇を目指す実状においては入院期間の短縮化は避けられず、ロコモティブ症候群合併検査時間の確保が容易でないことや、近年の入院患者内訳における高齢化(80歳以上の患者数割合の増加)が適応対象者数を減らしていることなどが達成速度を低下させる要因となっている。 外来での「ハイブリッド・トレーニングシステム」を用いた下肢伸展屈曲運動療法研究は、入院患者および外来患者に対する通常心臓リハビリテーション実施環境の合間を縫って実施している。専用機器2台を用いて2名の理学療法士協力の下で実施しており、同実施期間中においては合計3名が実施数の限界であることが実施数の増加速度を低下させる要因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた実施方法に問題は認めていない。予想実施数を少々下回っているものの、一年を通じての毎月の実施数に大きな変動なく、比較的安定実施ができている。引き続き対象数を増やし、これまでに蓄積した血液サンプルを用いた測定実験の平行実施にも今後取り組んで行く。
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Causes of Carryover |
当初の予想実施数を少々下回り、血液サンプルによるmyokine等の測定実験を一度に行うための十分数に至らなかったため、実験物品購入のための使用予定金額に到達しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初回実験の実施に十分数の血液サンプルが蓄積出来次第、実験遂行に向けた実験物品購入に充てる予定である。最近の他施設研究報告を考慮すると当初予定していた測定項目数を上回る可能性が示唆されることから、その不足分を補充する上で前年度予算を補填金として有効活用することも視野に入れている。
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