2016 Fiscal Year Research-status Report
ロコモティブ・シンドローム合併心臓血管病の早期診断とハイブリッド運動療法の介入
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15K08757
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
佐々木 健一郎 久留米大学, 付置研究所, 講師 (70320190)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ロコモティブ症候群 / 慢性心臓血管病 / レジスタンストレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究-1) 「ロコモティブ症候群合併静態調査」は現在まで、慢性心臓血管病入院患者約170名、一般健診者約230名に実施している。本年度実施した2回目の検診で男性健診者データを増やすことができたため、前年度とは異なり、男女両群におけるデータ解析が可能となった。平均年齢60.1歳の女性患者は平均年齢61.5歳の女性健常人に比べて上腕周囲径と大腿周囲径が短く、握力の低下、歩行速度の低下、骨密度の低下、低栄養状態を認めた。平均年齢64.4歳の男性患者は平均年齢61.2歳の男性健常人に比べ、握力の低下を認めるのみで、他の評価項目には有意差を認めなかった。慢性心血管病の女性患者は、准高齢者年齢65歳に至る以前からロコモティブ症候群を合併しているかもしれず、早期からの予防対策が必要であることが示唆された。 (研究-2) 「ハイブリッド・トレーニングシステムを用いた下肢伸展屈曲運動療法の安全性と効果についての検討」については慢性心臓血管病の外来患者14名に実施終了しており、現在も実施中である。慢性心不全例8名、末梢動脈疾患例6名を内訳として6か月間の予定実施期間を満了できた対象者は12名(85.7%)であった。慢性心不全例では実施6か月後の胸部レントゲン写真で半数に心胸郭比の低下、血液検査で半数にNT-proBNP値の低下を認めた。慢性の末梢動脈疾患例(閉塞性動脈硬化症4例、バージャー病2例)では閉塞性動脈硬化症例において末梢血流増加の急性効果と歩行距離の延長を1例に、バージャー病例においては疼痛の軽快や皮膚潰瘍の改善を2例に認めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「ロコモティブ症候群合併静態調査」は、2回目の検診実施で検診者群の対象者数増加が得られたが、その一方で当包括医療費支払い制度方式(DPC)対象病院ゆえの「機能評価係数Ⅱ」上昇を目指す現状においては依然、入院期間の短縮化が避けられず、さらに本年度は入院疾患や患者年齢が検査対象外であることも多く、入院患者群の対象者数増加があまり得られなかった。 外来での「ハイブリッド・トレーニングシステム」を用いた下肢伸展屈曲運動療法研究は、入院患者および外来患者に対する通常心臓リハビリテーション実施環境の合間に理学療法士協力の下で実施している実情に変わりはなく、前年度と同様の実施者数伸びに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた実施方法に問題は依然認めていない。予想実施数を少々下回っているものの、一年を通じての毎月の実施数に大きな変動なく、比較的安定実施ができている。引き続き対象数を増やすことに尽力する一方で、これまでに蓄積した血液サンプルを用いた測定実験を中心に今後は取り組んで行く。
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Causes of Carryover |
2回目の検診実施に多くの労力を注ぐことになった結果、前年度までに集積した血液サンプルによるmyokine等の測定実験の十分な実施に至らず、実験物品購入のための使用予定金額に到達しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
血液サンプルは順調に集積できており、実験遂行に向けた実験物品購入に充てる予定である。検査項目によっては外注測定が好ましいものあるため、前年度予算を補填金として活用することも視野に入れている。
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