2016 Fiscal Year Research-status Report
診断群分類包括評価データを用いた従来手術と新たな低侵襲手術の費用対効果の比較
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15K08850
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
柚木 純二 佐賀大学, 医学部, 講師 (00728363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 進 佐賀大学, 医学部, 講師 (60535748)
森田 茂樹 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (70243938)
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 病院管理学 / 低侵襲手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓血管外科の領域において、低侵襲であるステントグラフト治療や経カテーテル大動脈留置(TAVI)が広まりつつあるが、医学的な有用性だけでなく、費用対効果の検討も避けられない状況にある。特にTAVIに関しては、従来の弁置換術での人工弁の5倍以上の保険償還額がTAVIの材料費として認められており、それに見合う費用対効果が得られているかの研究は少ない。本邦独自の診断群分類包括評価データ(DPC)を用いることでその解析を行うことを目的とした。 昨年度末に日本循環器学会にて、大動脈狭窄症に対する単独弁置換術(AVR)とTAVIのDPCデータを用いた初期データを集積し公表した。症例数は少ないがTAVI20例、AVR42例との比較では、在院日数はTAVI平均19.1日、AVR平均28.9日とTAVIが有意に短かったが、医療費はTAVI平均623万7947円、AVR平均479万5188円とTAVIの方が医療費が高いことが分かりました。そのほとんどが医療器具に対するいわゆるMedical Suppliesであり、Gross ProfitはTAVIの方が安いという結果であった。TAVIの方が在院日数を短縮できたが、現在の保険診療では高いMedical Suppliesにより医療費の軽減にはつながっておらず、かつGross profitも少ないという結果だった。 現在、TAVIとAVRの症例を増加させるとともに、より精度の高いプロトコールを作成中である。また、別の疾患である腹部大動脈瘤に対する開腹手術とステントグラフト治療にも同様の研究を行っており、さらに他病院との多施設合同研究へつなげたいと考えている。。本研究を遂行することで、複数の治療手段を有する疾患、特に低侵襲手術を有する疾患に対してそれぞれの治療法の費用対効果の判定を行うことができ、臨床の現場に有用な指針を提供できるという意義があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
DPCデータを用い以下の手順で解析を行う計画としております。 1.佐賀大学における従来手術と低侵襲手術の治療成績、例えば腹部大動脈瘤に対する開腹手術とステントグラフト治療や大動脈弁狭窄症に対する開胸弁置換術とTAVIを比較検討し、DPCデータからのデータ抽出が可能か、また費用対効果の分析をするためのプロトコールを作成する。2.前述したプロトコールが当院だけでなく他院のデータでも応用可能か、佐賀県立病院好生館に協力してもらいDPCデータから2施設の症例群で費用対効果の検討を行う。3.佐賀県のすべてのDPCデータを用いて、多施設のDPCデータを用いて費用対効果解析が可能であることを明らかにする。
研究分担者であり当研究の発案者で当科代表の森田茂樹教授が昨年急遽退職されるという予期していなかった事態が起こり一時期、研究の中段を余儀なくされました。また、電子カルテを操作できデータ作成を行える人員の確保が困難で、TAVIの症例数が予想より増えなかったこともあり、①のプロトコールの精度を上げるのに時間を要している現状です。現在プロトール作成の最終段階であり、多施設のDPCデータ使用の承諾を得、多施設も含めたDPCデータの共有、解析を行っていきたいと考えております。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、佐賀大学における従来手術と低侵襲手術の治療成績、1.腹部大動脈瘤に対する開腹手術とステントグラフト治療、2.大動脈弁狭窄症に対する開胸弁置換術とTAVI の比較検討が終わり、DPCデータからプロトール作成の最終段階です。プロトコールそのものの精度を上げるために、複数回の検証を行います。このプロトールが作成できれば、多施設も含めたDPCデータの共有、解析が可能となりますので、2施設おより県内施設の協力を得て複数施設で検討する予定です。課題としては、本県の低侵襲手術そのものの症例数が少なく、ビッグデータとするためには、本県のみのデータではなく、他県ならびにハイボリュームセンターのDPCデータを使用させて頂くのが良いと考えますが、そのプロセスには時間を要する可能性があると思われます。 精度の高いプロトコールさえ作成できれば、データの抽出、解析はスムーズに行えると考えております。
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Causes of Carryover |
研究分担者であり当研究の発案者で当科代表の森田茂樹教授が昨年急遽退職されるという予期していなかった事態が起こり一時期、研究の中段を余儀なくされました。また、当院電子カルテを操作できる人員が確保できず、人件費としての支出がありませんでした。 予定より研究の進行が遅れたため、支出額が少なくなったものと考えます。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、電子カルテが操作できデータ入力可能な人材を確保できたため、その人件費およびデータ入力の機材購入として使用します。また研究結果を解析する際の解析費用や結果を発表する際の旅費として使用するとともに、論文作成の際の英文校正、論文掲載の費用として使用する予定です。
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Research Products
(8 results)