2017 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research to develop evaluation method for cerebral function by mean of D-neuron.
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15K08872
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西村 明儒 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (60283561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石上 安希子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 講師 (60359916)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 法医神経病理学 / レクチン / 海馬 / 歯状回 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成23年から27年に行われた法医剖検例のうち、ホルマリン固定・パラフィン包埋後、厚さ5μmに薄切し、病理組織診断に用いた脳113例の海馬を用いて、レクチンおよび蛍光抗体二重染色を施行し、鑑定症例への応用を検討した。 死因別のレクチン染色では、DBAならびにGSI-B4を用いた。死因の違いによる染色性の有意差は、見られなかった。特定の死因によって球状沈着物(SPD)が発現した可能性は低く、レクチンを用いた診断法は、死因の種類を問わず、使用することが可能と考えられた。死後経過時間別のレクチン染色性では、8日以降のものが7日以内のものに比べて、レクチン染色性が高くなることが明らかになった。このことから、レクチンを用いた診断法は、死後7日を目処に適用の可否を検討する必要があると考えられた。 一本鎖DNA(ssDNA)とドーパ脱炭酸酵素(DDC)の二重染色では、SPD部にssDNAのみの反応が認められ、DDCとの共存は見られなかった。一方、TAAR1とDDCの二重染色では、SPDにおいて、一部に微量アミン関連受容体1型(TAAR1)とDDCの共染が認められた。また、アミロイド小体(CA)にもTAAR1単独での存在が認められ、全体が染まっているもの、辺縁が染まっているもの、まったく染まっていないものに分けられた。免疫電顕的に確認されているSPDとCAとの類似性やシグナルの分布パターンを支持する結果となった。この際、SPDで見られたDDCのシグナルが、CAでは見られなかったことから、SPDからCAへ変化する際にDDCが消失すると考えられた。さらに、アミロイド小体におけるTAAR1の染色態様の変化から、CAが形成されてから時間経過とともに中心部のシグナルが減少し、周辺のみに残存する状態を経て、消失していくと示唆された。今後は、さらに症例を増やして検討を重ねる必要があると考える。
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