2016 Fiscal Year Research-status Report
肝幹前駆細胞マーカー陽性肝細胞癌の生物学的悪性度を規定する因子の解明
Project/Area Number |
15K08990
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
土屋 淳紀 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (70464005)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 腫瘍マーカー / 幹前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝前駆細胞 (Hepatic progenitor cell; HPC) は、肝細胞又は胆管細胞へ分化する可能性を持つ未熟な細胞で肝細胞癌 (hepatocellular carcinoma; HCC)と多くのマーカーを共有するする。HCCは個人間でも、腫瘍内でもヘテロな腫瘍であり本研究では、ヘテロな腫瘍の解析に高増殖性、薬物抵抗性、転移等と関連し不良因子の一つのHPCマーカーに注目した。昨年度までにepithelial cell adhesion molecule (EpCAM), delta-like 1 homolog (DLK1), neural cell adhesion marker (NCAM), cytokeratin 19 (CK19)と4つのHPCマーカー陽性HCCの臨床学的特徴を明らかにすると共に、血清腫瘍マーカーを用いて拾い上げの可能性を検討した。肝細胞癌に対する外科的切除を行った251症例の切除標本を各マーカーで免疫染色を行い(5%以上陽性)で発現解析した。個々のマーカー陽性群を同定後、臨床的特徴について解析を行った。症例全体のHPCマーカー発現率は、CK19, NCAM, EpCAM, DLK-1の順に各々7.1%,7.9%,14.3%,17.9%であった。臨床データも合わせた多変量解析にて、EpCAM、PIVKA-II、60歳以上、Child-Pugh score B もしくはCが全生存期間 (OS)に関して予後不良因子として抽出された。この4つのfactorを用いると術後の予後を効率よく予測できることも見出した。また、HPCマーカーの単独発現群よりもHPCマーカーを重複発現する群がよりAFPやAFP-L3を発現する傾向が強く予後が悪いことを見出した。臨床的に予後の悪い肝細胞癌は複数のHPCマーカーの発現する集団であることを初めて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝細胞癌切除例251例に対して、肝前駆細胞(hepatic progenitor cell; HPC)マーカーCK19, NCAM, EpCAM, DLK-1の発現とその腫瘍マーカーを含めた臨床データを解析を行え、EpCAM、PIVKA-II、60歳以上、Child-Pugh score B もしくはCが全生存期間 (OS)に関して予後不良因子に関わる知見を見いだせた。 また、従来では関連性の説明の難しかった、HPCマーカーの重複発現例が特に予後が悪いことを見いだせたため。これらの知見は今後予後の悪い肝細胞癌の治療を考える上で、複雑な癌細胞の多様性を考える必要があることを示しており、重要な知見と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで得られた結果が、実際の術後などに反映されたものであるか今後の症例でそれを見直してみたい。 今後HPCマーカーの発現が血液中で予測できるか、HPCマーカーの発現がどのような遺伝子異常と結びついているのかいないのか残された期間で解析の基盤を作り将来の全貌解明に繋げたいと考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度の使用額から、67,811円が次年度使用となったが、これが血清や組織標本のサンプル解析に必要繰り越した方が効率よく実験が行えると考えて次年度使用と致さいました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後血清からの発現HPCマーカーの予測の際にかかる経費や組織からの遺伝子解析に向けた調整の際に使用しようと考えている。
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