2016 Fiscal Year Research-status Report
地域一般住民において慢性腎臓病と脂質異常症が心血管病発症に及ぼす影響:久山町研究
Project/Area Number |
15K09267
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永田 雅治 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70645639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
清原 裕 九州大学, 医学研究院, 教授 (80161602) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 脂質異常症 / 心血管病 / 追跡研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(CKD)患者の脂質異常の管理目標については未だ不明な点が多く、今後の検討を要する課題である。そこで、福岡県久山町の一般住民を対象とした疫学研究(久山町研究)の成績を用いて、CKDの有無別に脂質異常が心血管病発症に及ぼす影響を検討した。 1988年の循環器健診を受診した40歳以上の男女2630名を19年間追跡した成績を用いて、CKDの有無別に血清non HDLコレステロール(non HDL-C)の上昇が心血管病(CHD)発症に及ぼす影響を検討すると、non HDL-C上昇はCHDの有意な危険因子であり、non HDL-Cの評価はCKD患者のCHD発症を予測する上で重要であることが明らかになった。直ちにこの研究内容を論文化し、2016年に英文専門誌に掲載された。(Usui T, Nagata M, Hata J, Mukai N, Hirakawa Y, Yoshida D, Kishimoto H, Kitazono T, Kiyohara Y, Ninomiya T. Serum Non-High-Density Lipoprotein Cholesterol and Risk of Cardiovascular Disease in Community Dwellers with Chronic Kidney Disease: the Hisayama Study. J Atheroscler Thromb, 2016 Nov 12. [Epub ahead of print]) また2016年度は、2007年の循環器健診受診者(3384名、受診率78.2%)の血清脂質マーカーのデータセット化、追跡調査を継続して行っており、整備されたデータをもとに統計解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年(2016年)度は以下の項目を行った。 ①1988年の健診受診者における追跡調査の成績を用いて、慢性腎臓病の有無別にみた血清non HDLコレステロールと心血管病発症の関連を検討した。 ②①の検討結果を英文論文化し、専門誌に掲載された。 ③2007年健診受診者の血清脂質マーカーをデータセット化した。 ④追跡調査を継続した。(2016年6月から8月にかけて生活習慣病健診、2016年9月から12月にかけて転出者を含めた全対象者の追跡調査、新規心血管病発症例を正確に診断、死亡例に対する剖検) これらは当初の計画通りに進行しており、来年度も無理のない範囲で研究を遂行できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年(2017年)度は以下の推進方策を予定している。 ②健診、追跡調査および臨床情報からのデータ整備を完成する。 ③2007年に測定したeGFRおよび尿中アルブミンと測定した新規脂質マーカーが、心血管病の発症に及ぼす影響を前述した統計解析方法で検討する。 ④研究成果は国内外の学会で報告するとともに、英文誌に投稿する。また久山町住民のみならずわが国の国民に対して、マスメディアおよび公開講座を通じて情報を発信する。
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Causes of Carryover |
今後も本研究を遂行する上で、①追跡調査費用(発症・ 死亡症例の診療録・画像フィルムの複写費用、追跡調査出張 の旅費など)、 ②解析に用いるコンピュータ、統計ソフトのパッケージウエアのライセンス費用、 ③結果を公表するための学会参加費用、英文雑誌への投稿費用 を予定している。今年度は①②③のいずれも行ったが、予定よりも当該年度の実支出額が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はコンピュータ、統計ソフトのパッケージウエアのライセンス費用、学会参加費用、英文雑誌への投稿費用 に経費を用いる予定である。
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Research Products
(1 results)