2017 Fiscal Year Research-status Report
次世代シークエンサーを用いた多発性嚢胞腎(ADPKD)の遺伝子診断
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15K09279
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
望月 俊雄 東京女子医科大学, 医学部, 特任教授 (00277120)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多発性嚢胞腎 / ADPKD / PKD1 / PKD2 / 遺伝子解析 / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
ADPKDにおける早期診断ならびに除外診断ならびにADPKDの新たな治療薬であるバソプレシン受容体拮抗薬(トルバプタン)の適応決定のため、次世代シークエンスにより、迅速で、精度の高い、ADPKD遺伝子診断法を確立することが本研究の目的である。 今年度は、次世代シークエンスによる遺伝子変異検出率の向上を目的に、ロングレンジPCRを用いて当該遺伝子領域全体を増幅する方法を用いた。PKD1領域を6個のロングレンジPCR、PKD2領域を5個のロングレンジPCRで網羅した。PKD1、PKD2ともにエクソン1はGCリッチな領域のため、ややカベレージが低い傾向にあったため、この部分についてはキャピラリー・シークエンス法でも解析した。 結果は、39検体のうち、PKD1遺伝子変異を20個、PKD2遺伝子変異を5個検出した。変異の種類としては、nonsense mutation 4個、splicing mutation 1個、frameshift deletion/insertion 13個、missense mutation 7個であった。今回のロングレンジPCR法で目立ったのは、10塩基以上のframeshift deletionを3個検出できたことであった。いずれもPKD1遺伝子変異であり、エクソン10の49塩基、エクソン45の13塩基、エクソン10の37塩基のdeletionであった。さらに、ロングレンジPCRの際に大きさの異なるPCR産物が得られ、その解析の結果、PKD1遺伝子のIVS26-30のlarge deletion(653塩基)が検出された。 今年度、ロングレンジPCRによる次世代シークエンス法にて新たな遺伝子変異を検出できたが、まだ検出できない患者もおり、来年度はMLPA法を用いて解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロングレンジPCRの条件設定、次世代シークエンサーの解析、ミスセンス変異の評価(病的変異に相当するか)、それぞれに時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子変異未検出の患者についてMLPA法を用いて解析を行う。またcDNAによる解析も行っていく。さらに、これまでの結果のまとめとして、ADPKD患者における遺伝子変異のタイプ、頻度ならびに遺伝子型と表現型の相関(genotype-phenotype relationship)についても検討する。遺伝子変異と臨床的重症度(末期腎不全年齢など)との遺伝子型・表現型の相関性についての解析も行う。
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Causes of Carryover |
理由:ロングレンジPCRの条件設定、次世代シークエンサーの解析、ミスセンス変異の評価(病的変異に相当するか)、それぞれに時間がかかったため、当初予定していたMLPAによる解析ができなかったため。
使用計画:MLPAによる解析にかかる費用に充てる。
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