2015 Fiscal Year Research-status Report
ケトン体代謝を介したグリア系3細胞の統合的制御による新規脳梗塞治療開発
Project/Area Number |
15K09324
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 慎一 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (20236285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 貴人 慶應義塾大学, 医学部, 講師(非常勤) (30365233)
中原 仁 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60537950)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アストログリア / ミクログリア / 一酸化窒素 / TLR4 / 脳虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳虚血におけるグリア系細胞相互のコミュニケーションと神経細胞への保護、障害作用を検討するため、アストログリア(AG)とミクログリア(mg)に発現するtoll-like receptor 4 (TLR4)を介したメカニズムを検討した。TLR4はミクログリア中心に発現し、その古典的リガンドlipopolysaccharide (LPS)はROS/NO産生を介して炎症反応を惹起する。我々はLPSが培養アストログリアに対してpentose-phosphate pathway (PPP)活性化とグルタチオン還元を介する抗酸化作用を惹起することを報告したが、数%混在するmgとの相互作用を明らかにするため、mgを化学的に除去し、LPSによるROS/NO産生とPPP活性化について、低酸素誘導性のPPP活性化と比較検討した。SDラットよりAGを調整し、Ara-C + L-leucine methyl ester (LME)処理によりmgを除去した。正常(21%)・低(1%)O2チャンバー内でLPS (0.01 μg/mL)を負荷後、PPP flux([1-14C]と[6-14C]glucoseの代謝差分)、ROS/NO産生率(H2DCFDAとDAFDA蛍光強度)を測定した。AG、mg同定、Nrf2核移行は免疫染色で、TLR4発現はWBで検討した。培養AG(GFAP+)に約10%認められたmg(Iba1+)は、Ara-C + LME処理で消失したが、TLR4発現は維持された。LPS投与(12 h)で惹起されるROS/NO産生はmg除去後消失、AGのNrf2核移行とPPP活性化も消失した。低酸素下のPPP活性化は維持された。MEK阻害薬U0126前処理はLPSによるNO産生とPPP活性化を阻害した。mg除去後AGにグルタチオン産生阻害を施すことで、LPS誘導性ROS産生が再観察された。TLR4刺激は、mg由来のNOを介してAGにNrf2依存性PPP活性化を惹起し、mgのもたらす酸化ストレスに対する防御作用が示唆された。AGのTLR4刺激もROS/NO産生をもたらすが高い除去活性により顕在化せず、PPP活性化トリガーとして低酸素はmg非依存性に、TLR4刺激はmg依存性に作動すると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題であるグリア系細胞の統合的制御機構の解明として、本年度はまずアストログリアとミクログリア間のTLR4を介した神経保護効果のメカニズムに注目して研究を進めミクログリアから放出される一酸化窒素(NO)産生がアストログリアのKeap1/Nrf2システムを直接活性化し、その下流にある抗酸化ストレス機構を介して神経保護的に作用する可能性を初めて明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は虚血下ではアストログリアからはケトン体の産生が亢進、放出されることを確認しており、今後はアストログリアからミクログリアへのケトン体シグナルの検討を進める。ミクログリアには代表的なケトン体の1つ、βヒドロキシ酪酸の受容体であるHCA1が発現していると報告されており、次年度は培養ミクログリアにおける受容体発現とリガンド刺激によるミクログリアへの作用をin vitro培養細胞ならびにin vivo CX3CR1-GFPトランスジェニックマウスを用いて検討する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Metabolic balance of neuron, glia and vessel.2015
Author(s)
Shinichi Takahashi
Organizer
The XXVIIth International Symposium on Cerebral Blood Flow, Metabolism and Function & XIIth International Conference on Quantification of Brain Function with PET
Place of Presentation
バンクーバー(カナダ)
Year and Date
2015-06-27 – 2015-06-30
Int'l Joint Research / Invited
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