2016 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージピノサイトーシスを標的とした新規動脈硬化治療戦略の構築
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15K09418
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮崎 拓郎 昭和大学, 医学部, 講師 (80398693)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カルパイン / 動脈硬化症 / エキソン接合部複合体 / 飲作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までにカルパインファミリーの非プロテアーゼ型アイソフォームであるカルパイン-6がエクソン接合部複合体構成分子CWC22 と分子間相互作用し、結果としてマクロファージ飲作用を介したnative LDL取込みを促進し、動脈硬化症を増悪化させることを明らかとした。本年度は、特にマクロファージが生体内でどのようにして飲作用活性を獲得するか検討した。動脈硬化症モデルマウスの循環血中の単球を蛍光ビーズでラベルし、3日後に動脈硬化プラークに動員された蛍光ビーズ陽性細胞を組織化学的に検出したところ、多くの陽性細胞はカルパイン-6陰性であった。プラーク内部の泡沫化マクロファージが顕著にカルパイン-6を発現することから、単球が動脈硬化病変に動員された後にカルパイン-6が発現誘導され、これがマクロファージの飲作用活性獲得に寄与すると考えられる。実際カルパイン-6の欠損により動脈硬化病変マクロファージの飲作用活性は消失した。In vitroの検討では、TNF-a刺激により単離骨髄由来マクロファージにおけるカルパイン-6依存的な飲作用獲得が再現された。したがって、マクロファージは動脈硬化プラーク内部の局所環境に依存して飲作用活性を獲得すると考えられる。また、動脈硬化病変における酸化ストレス、死細胞コアの容量を検討したが、カルパイン-6野生型と欠損マウスで明らかな違いは認められなかった。 CWC22欠損マウスの解析も続行している。同マウスは胎生致死であったため、いずれの時期に致死に至るのか胎児を摘出して検討している。胎児におけるCWC22の発現はE11.5を境に低下する傾向がある。そこでE11.5の時点でマウスの解析を行った。これまで22匹の胎児を検討したがホモ接合型の欠損マウスは得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CWC22欠損マウスが胎生致死の表現型を呈したため。
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Strategy for Future Research Activity |
カルパイン-6については、動脈硬化症に関する検討が終了したため、関連疾患である肥満・糖尿病に対する寄与についても検討する。Cwc22欠損マウスについては、ホモ接合型の胎児を得るべく、交配を続行する(更に早期の胎生期を検討)。Cwc22ホモ接合型欠損マウスが得られれば次世代シーケンサーを用いたターゲット遺伝子の網羅解析を行う。上記の解析と平行して、Cwc22ヘテロ接合型マウスとLDL受容体欠損マウスとの交配により二重欠損マウスを作出する。LDL受容体欠損マウスと二重欠損マウスに高脂肪食を与え、動脈硬化症の表現型解析を行う。 ・動脈硬化の表現型解析:全身性・マクロファージ特異的Cwc22欠損マウスについて、大動脈および大動脈洞における脂質の蓄積をoil red O染色で確認する。また、血漿中の全コレステロール、LDL、HDLコレステロールを測定する。 ・動脈硬化病変における病理解析:免疫染色により病変へのマクロファージ動員等を確認する。 ・動脈硬化病変における飲作用活性:AngioSPARK nanoparticlesを全身投与した際の泡沫化マクロファージへの取込みを指標として、in vivoにおいてピノサイトーシス活性を測定する。 ・骨髄由来マクロファージの解析:現状ではマクロファージを責任細胞と考えており、同細胞を単離し、カルパイン-6発現確認、変性LDL取込み活性、ピノサイトーシス活性の測定、細胞動態の確認、細胞内シグナルの同定を行う。
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Causes of Carryover |
端数として797円が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度物品費として使用する。
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[Journal Article] Calpain-6 confers atherogenicity to macrophages by dysregulating pre-mRNA splicing.2016
Author(s)
Miyazaki T, Tonami K, Hata S, Aiuchi T, Ohnishi K, Lei XF, Kim-Kaneyama JR, Takeya M, Itabe H, Sorimachi H, Kurihara H, Miyazaki A.
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Journal Title
Journal of clinical investigation
Volume: 126
Pages: 3417-3432
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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