2016 Fiscal Year Research-status Report
弓状核-室傍核軸の概日リズムによる摂食・エネルギー代謝調節とその破綻機序の解明
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15K09442
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
中田 正範 自治医科大学, 医学部, 准教授 (10305120)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 摂食行動 / エネルギー代謝 / 弓状核 / 室傍核 / Nesfatin-1 / Oxytocin / AgRP |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、概日リズムの乱れが内分泌・代謝疾患を増悪することが明らかになってきている。このことは概日リズムが摂食・エネルギー代謝調節に重要であることを示している。そこで本研究では、摂食・エネルギー代謝調節の中枢である視床下部の弓状核―室傍核軸に着目し、弓状核―室傍核軸の概日リズムによる摂食・エネルギー代謝制御機構の解明を目的とする。昨年度までに、実験計画通りに、各種のコンデショナルノックアウトマウスを作成し、本年度はこれらマウスの摂食・エネルギー代謝に関して解析を行った。 AAVベクターを用いた解析より室傍核NUCB2/Nesfatin-1ニューロンが摂食の概日リズムを形成する事を昨年度報告した。本年度はSIM1 CreマウスとNUCB2 floxマウスの交配により室傍核特異的NUCB2/Nesfatin-1ノックアウトマウスを作成し、室傍核NUCB2/Nesfatin-1ニューロンの活性化調節因子を検討した。さらに、FGF21ノックアウトマウスは室傍核NUCB2/Nesfatin-1発現が低下している事、FGF21の血中濃度には概日リズムがある事、FGF21の摂食抑制作用にも概日リズムがある事を明らかにした。これらの結果より、FGF21による室傍核NUCB2/Nesfatin-1ニューロンの活性化が摂食行動の概日リズム形成に関与している可能性が示唆された。 時計遺伝子であるBMAL1の室傍核特異的ノックアウトマウス、Oxytocinニューロン特異的ノックアウトマウス、AgRPニューロン特異的ノックアウトマウスは過食を呈した。 この結果、AgRP,Nesfatin-1,Oxytocinニューロンによる弓状核―室傍核軸の概日リズムが摂食行動の調節に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Oxytocinニューロンに関連するノックアウトマウスでは、妊娠・出産の異常による繁殖の問題があり計画が少し遅れている。しかし、作成したノックアウトマウスの摂食・エネルギー代謝の表現型の解析は完了しており、遅れは改善できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、弓状核―室傍核軸に関連する複数のノックアウトマウスを作成し、摂食・エネルギー代謝異常を呈する複数のノックアウトマウスを同定した。今後は、これらマウスの結果をもとに、弓状核―室傍核軸の分子神経機構を解析する。 弓状核および室傍核のスライス培養系を用いた概日リズム調節因子の同定に関してもプロモーター・ルシフェラーゼ発現ベクターの作成を終了しており、実験を開始している。今後さらに解析を進める。 AgRPニューロン特異的BMAL1ノックアウトマウスで過食が起こる事からAgRPニューロンへの介入による摂食・エネルギー代謝の是正の有用性が示唆される。今後、このマウスマウスでの出の解析により、室傍核概日リズム是正法の確立を進め、肥満動物への展開を行なう。
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Causes of Carryover |
実験計画がやや遅れており、分子生物学的実験及び生理学的実験に関する物品費が予定より少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の遅れの改善に努め、ノックアウトマウスの分子機構の解析に、分子生物学的実験及び細胞生理実験を行う。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Fibroblast growth factor 21, assisted by elevated glucose, activates paraventricular nucleus NUCB2/Nesfatin-1 neurons to produce satiety under fed states.2017
Author(s)
Santoso P, Nakata M, Shiizaki K, Boyang Z, Parmila K, Otgon-Uul Z, Hashimoto K, Satoh T, Mori M, Kuro-O M, Yada T.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 7
Pages: 45819
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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