2016 Fiscal Year Research-status Report
IgG4関連疾患の炎症性単球発現分子および免疫グロブリン対応抗原の同定
Project/Area Number |
15K09510
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
正木 康史 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40238895)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河南 崇典 金沢医科大学, 医学部, 講師 (20350762)
中村 拓路 金沢医科大学, 医学部, 助教 (90725003) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 濾胞樹状細胞 / リンパ濾胞形成 / ファージディスプレイ / ランダムペプチドライブラリー / CD14 / CD21 / 多施設共同前方視研究 / 多クローン性高γグロブリン血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
IgG4関連疾患では増加しているIgG4自体は多クローン性であるため根本的な病因ではなく、更に上流の異常が存在すると考えられている。サイトカインバランスはTh2、Treg優位であるが、それらを制御する本疾患の根本的な原因はまだ不明である。我々はその上流の異常がリンパ球系以外の細胞の産生するサイトカインやケモカイン等にあると仮定し、病理組織学的に単球/マクロファージあるいは樹状突起細胞の存在と分布を検討した。その結果、IgG4関連疾患の典型的な組織では、リンパ濾胞胚中心部にCD14陽性細胞が存在するが、その他の疾患(反応性リンパ節腫大、多中心性Castleman病、シェーグレン症候群)では、CD14陽性細胞のリンパ濾胞への分布は全く認められなかった。当初、このCD14陽性細胞は炎症性単球と考え検索を続けたが、濾胞樹状細胞(CD21)との二重染色の結果、濾胞樹状細胞がCD14を発現していると結論し論文化した。この所見が、IgG4関連疾患の病態形成において重要な鍵を握っていると考え、更にこれを深く追求する事とし、単球/マクロファージと、T細胞、B細胞、濾胞樹状細胞、PD-1, PD-1Lなどの免疫染色を追加し詳細に検索している。 また、本疾患では大半の症例に多クローン性高ガンマグロブリン血症が認められるため、産生される免疫グロブリンの反応エピトープを探る事により病因に迫れる可能性がある。IgG4関連疾患症例のプール血清中抗体の対応抗原の検索のために、ランダムペプチドライブラリーを用いたファージディスプレイによる発現クローニングを以前より行っており、患者血清に反応する幾つかのペプチドを得た。しかし、ペプチドのシークエンスから、既知の抗原との相同性が得られず、反応するペプチドを更に多くクローニングし、解析を続ける予定となっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IgG4関連疾患の典型的な組織では、22例中13例でリンパ濾胞形成を伴っていた。リンパ濾胞形成を伴ったIgG4関連疾患組織13例全例で組織中のリンパ濾胞胚中心にCD14陽性細胞を認めた。IgG4関連疾患の典型的な組織では、リンパ濾胞の胚中心部でCD14陽性細胞が存在するが、その他の疾患(反応性リンパ節腫大3例、多中心性Castleman病3例、Sjogren症候群13例)では、CD14陽性細胞のリンパ濾胞への分布は全く認められなかった。また同一組織中にもCD14陽性の濾胞と陰性の濾胞が混在して認められた。当初、このCD14陽性細胞は炎症性単球と考え検索を続けたが、2014年に濾胞性リンパ腫におけるCD14陽性濾胞樹状細胞の存在が報告された。 我々もCD14と濾胞樹状細胞(CD21)との二重染色の結果、濾胞樹状細胞がCD14を発現していると結論した。また、IgG4関連疾患組織では同一組織中にもCD14陽性の濾胞と陰性の濾胞が混在して認められ、この内容を論文化した(Satoh-Nakamura T, Masaki Y, et al. CD14+ follicular dendritic cells in lymphoid follicles may play a role in the pathogenesis of IgG4-related disease. Biomedical Res (Tokyo) 36(2):143-153,2015)。 また臨床的にも多施設共同前方視研究を推進し、本疾患における中等量ステロイド治療の有用性と、鑑別診断の重要性を論文化した(Masaki Y, et al. Mod Rheumatol.15:1-6, 2016)。
|
Strategy for Future Research Activity |
IgG4関連疾患におけるリンパ濾胞の形成、濾胞樹状細胞のCD14を発現する所見が、IgG4関連疾患の病態形成において重要な鍵を握っていると考え、今後は更にこれを深く追求する。単球/マクロファージと、T細胞、B細胞、濾胞樹状細胞、PD-1, PD-1Lなどの免疫染色を追加し、二重染色も行い濾胞内の細胞分布の異常を詳細に検索する事とした。現在、例数を増やし上記の免疫染色を追加し評価中である。さらに、レーザーマイクロダイセクション法やCD14陽性濾胞樹状細胞分画をフローサイトメトリー法を用いてソーティングで回収し、濾胞樹状細胞に発現するサイトカイン/ケモカインなどを分析し、本疾患の病因、病態を解明する予定である。CD14陽性細胞を分離し、細胞レベルでの各種サイトカイン(IFN-γ,IL4,IL10)/ケモカイン/ケモカイン・レセプター(CCL1,CCR8,CCL17/CCL22,CCR4,CXCL12)発現を検索中である。 また、本疾患では大半の症例に多クローン性高γグロブリン血症が認められるため、産生される免疫グロブリンの反応エピトープを探る事により病因に迫れる可能性がある。IgG4関連疾患症例のプール血清中抗体の対応抗原の検索のために、ランダムペプチドライブラリーを用いたファージディスプレイによる発現クローニングを以前より行っている。患者血清中抗体に反応するペプチド4個を得たが、反応するペプチドを更に多くクローニングし、解析を続ける予定となっている。
|
-
[Journal Article] A multicenter phase II prospective clinical trial of glucocorticoid for patients with untreated IgG4-related disease.2016
Author(s)
Masaki Y, Matsui S, Saeki T, Tsuboi H, Dobashi H, Susaki K, Morimoto H, Takagi K, Kawano M, Origuchi T, Wada Y, Takahashi N, Horikoshi M, Ogishima, H, Suzuki Y, Kawanami T, Kawanami (Iwao) H, Sakai T, Suzuki R, Morikawa Y, Yoshino T, Nakamura S, Kojima M, Kurose N, Sugai S, Sumida T.
-
Journal Title
Mod Rheumatol
Volume: 15
Pages: 1-6
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
-
[Journal Article] Proposed diagnostic criteria, disease severity classification and treatment strategy for TAFRO syndrome, 2015 version.2016
Author(s)
Masaki Y, Kawabata H, Takai K, Kojima M, Tsukamoto N, Ishigaki Y, Kurose N, Ide M, Furuta NI, Fujimoto S, Kawanami HI, Sakai T, Kawanami T, Fujita Y, Fukushima T, Nakamura S,Kinoshita T , Aoki S.
-
Journal Title
Int J Hematol
Volume: 103
Pages: 686-92
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-