2016 Fiscal Year Research-status Report
川崎病初期治療におけるシクロスポリンA作用メカニズムの新たな分子遺伝学的解明
Project/Area Number |
15K09696
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
武内 崇 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10246522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 啓之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80196865)
末永 智浩 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70433365)
垣本 信幸 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90614412)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 川崎病 / シクロスポリンA / 細胞内シグナル伝達 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、ガンマグロブリン静注療法(IVIG)不応の重症川崎病(KD)にシクロスポリンA(CsA)が有効であると報告(Pediatr Infect Dis J. 2011)し、このデータに基いて2014年5月から多施設共同で、重症KDを対象に初期治療としてIVIG単独療法とIVIG+CsA併用療法の有用性を比較する医師主導治験を開始した。一方、CsAの効果発現の詳細なメカニズムは、今なお不明である。本研究は、重症KDにCsAを用いた初期治療前後における、①細胞内シグナル伝達物質(STAT1,3,5, NFAT等)、②各種サイトカイン(sIL-2R, IL-2,4,6,10,TNF等)、③サイトカイン遺伝子発現レベルの変化をIVIG単独治療群と比較検討し、CsAの作用機序を解明することが目的である。 KD血管炎の発症、進展における細胞性免疫、液性免疫の関与する経路を解明し、IVIGやCsAの作用点をも明らかにし、重症KDの病態が解明できれば、治療法に新たな道が開け、重症KD治療のガイドライン作成にも多大な影響を及ぼし、CAL発症予防など、患者に多大の福音をもたらすと思われる。 2016年度までに、当院にて本治験に参加した患者数が13例となった。5例がIVIG単独療法群で、8例がIVIG+CsA群であった。本治験の患者登録期間は2016年9月に終了し、現在、これらの患者の血液サンプルから血清分離を行い、また、RNA採取用試験管にて血液を凍結保存している。現在、血清サンプルを用いて、各種サイトカイン(sIL-2R, IL-2,4,6,10,TNF等)の測定を行い、また、RNAの抽出、精製を行い、real time RT PCRによる細胞内シグナル伝達物質(STAT1,3,5, NFAT等)の遺伝子発現量の測定の準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度内に症例登録が終了し、血液サンプル、臨床データ獲得をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度内に、血液サンプル、臨床データの集積が終了したため、2017年度は、RNAの抽出、real time RT PCRの施行、血清からの炎症性サイトカイン定量、臨床データの解析を進めてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画していた購入予定のサーマルサイクラーを他の研究資金で購入できたため、余剰金が生じた。臨床データの集積、血液サンプルの収集に本年度を費やしたため、試薬等の購入が予定よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は炎症性サイトカインの測定、real time RT PCRによる遺伝子発現量の測定を行う予定であり、試薬の購入に資金を充てる予定である。
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