2015 Fiscal Year Research-status Report
新生児低酸素性虚血性脳症に対する脳低温療法におけるグリアに注目した新規脳保護療法
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15K09718
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
垣田 博樹 愛知医科大学, 医学部, 助教 (40528949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 清文 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70212462)
青山 峰芳 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (70363918)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 低酸素性虚血性脳症 / 脳低温療法 / アストロサイト / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児低酸素性虚血脳症(HIE)は在胎36週以降の成熟児に発症し、新生児脳障害の主たる原因となる重篤な疾患である。近年、HIEに対する脳低温療法の有効性が報告されているが、その治療効果は十分ではないのが現状である。本研究ではHIEに対する脳低温療法による脳保護メカニズムの解明とさらなる治療成績の向上のための新規治療法の提案を目指す。特に、グリア機能制御による脳内の微小環境改善を視野にいれた脳低温療法を補完する新しい治療法の確立を目指す。 培養アストロサイト、ミクログリアに低酸素負荷を行い、iNOS/Erythropoietinが誘導されることを明らかにした。またこれらの細胞を低温状態(34℃、72時間)にさらすと、Erythropietinの発現が遺伝子レベルでアストロサイトにおいて誘導された。またミクログリア、アストロサイトにおいて低温状態は遺伝子レベルで、iNOSの誘導が抑制された。今後は低温状態がアストロサイト、ミクログリアのErythropietin, iNOSのタンパクレベルでの発現に与える影響、シグナル、さらに脳保護作用のメカニズムに関しても検討していく予定である。 HIEの病態ならびに脳低温療法による脳保護の詳細なメカニズムはいまだ不明なままである。また、これまでにグリアの機能に着目し、分子生物学的な手法を用いて検討した報告はほとんどない。本研究により、現在もなお予後不良疾患であるHIEの病因および治療法の開発に貢献できるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、低酸素負荷を加えた培養アストロサイト、ミクログリアにおいてErythropoieitn、iNOSが誘導されることを明らかにした。さらにこれらの誘導は低温状態によりErythropoietinはさらに誘導、iNOSは抑制されることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
低温状態が与える影響を培養細胞においてさらに検討する。さらにこれらの変化がニューロンに与える影響についても検討する予定である。これらの細胞レベルでの検討をもとに、血液脳関門モデル、モデルマウスにおいても低温状態が与える影響について明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
細胞培養による解析、遺伝子発現の解析が順調にいったため、当初予定よりも購入ラット、試薬購入数が少なかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度はタンパク量の解析やin vivoでの解析を行っていく予定であり、本研究計画の内容から、ラットの購入、細胞培養用の器具、培地類の購入、遺伝子やタンパク発現の解析に使用する分子生物学用の試薬の購入が多くなると考えており、次年度使用額はそれに補填していく予定である。
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