2016 Fiscal Year Research-status Report
ノンコーディングRNAによる角化調節メカニズムの解明
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15K09738
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
乃村 俊史 北海道大学, 大学病院, 講師 (50399911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 宏 北海道大学, 医学研究科, 教授 (00146672)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 角化 / ノンコーディングRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
角層は、皮膚の最外層に位置し皮膚バリア機能の要である。角層の形成には少なくとも数十種類のタンパク質が関係しており、それらの角化関連タンパク質が厳密にコントロールされた遺伝子発現システムにより、時間的・空間的に秩序立って発現することで、正常な角層が形成される。しかし、この角化における秩序立った遺伝子発現調節のメカニズムについてはほとんど明らかになっていない。そこで我々は、ノンコーディングRNAが角化を制御しているという仮説を立て、角化制御因子の同定を目指すことにした。まず、角層の肥厚部位(手掌)と菲薄化部位(前腕)から全RNAを抽出し、トランスクリプトーム解析(RNA-seq)を行った。前腕と比べ手掌で発現が変化しているノンコーディングRNAは合計で13種類同定され、これらは角化関連ノンコーディングRNAの有力候補と考えられた。平成28年度はこれらの角化関連ノンコーディングRNA候補をRNAiにてノックダウンし、角化に及ぼす影響をin vitroで検討した。具体的には、実際の表皮を模した三次元培養表皮を作製し、それぞれの候補ノンコーディングRNAをRNAiにてノックダウンし、光学顕微鏡で超微構造を観察し、角化異常の有無を検討した。結果、複数のノンコーディングRNAのノックダウンで角層の形成異常が観察され、一部では角化細胞の細胞質の空胞化も観察された。以上の結果から、一部の候補ノンコーディングRNAは角化の制御に関わっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
角化関連ノンコーディングRNAの候補を13種類同定し、さらに3D表皮を用いたvalidationも終了しているため、実験は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験で絞り込まれた候補ノンコーディングRNAの作用機序の解明には、各ノンコーディングRNAの作用ターゲットの同定が必要である。ノンコーディングRNAのターゲットにはDNA、RNA、タンパク質のすべての可能性が考えられるため、それぞれ、クロマチン免疫沈降、pull-down assay、protein arrayを行い、候補ノンコーディングRNAの作用点を明らかにする予定である。さらに、これらの角化関連ノンコーディングRNAは、ヒトの角化異常症の発症に関与している可能性が考えられるため、角化異常の代表疾患である遺伝性魚鱗癬やアトピー性皮膚炎患者のゲノムDNAとRNAを解析し、角化関連ノンコーディングRNAのゲノムレベルでの大欠失やRNA発現量の有意な増減がないか検討を行う予定である。
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