2016 Fiscal Year Research-status Report
血中の内因性因子による皮膚の老化病態の解析と、その可逆性について
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15K09747
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高橋 健造 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80291425)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 内因性老化 / 血中因子 / 並立接合マウス / 紫外線 / アンチエージング / ヒアルロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトやマウスなどの哺乳類の老化を促進する因子として、特に皮膚に代表される外界に接する臓器においては、外来性の環境因子による老化(外因性老化)について盛んに議論されてきた。特に紫外線、赤外線やタバコによる皮膚老化、アンチエージングへの対策は、亜熱帯地方に位置する沖縄では公衆衛生学上の課題であり、これら電磁波暴露による遺伝子発現の変化や、真皮の間質成分の変性については、広く解析されてきた。 本研究課題は、これまで詳細に解析されてきた紫外線など外来性の環境因子による皮膚の老化(外因性老化)とは異なる、ヒトやマウスの皮膚の老化因子としての、血液中に流れるトランスファー可能な因子(内因性老化因子)の探索と、その老化作用の解析を目的とする。加齢したヒトの皮膚において、何が外的因子による老化病態であり、何か内因性因子による老化現象であるのかを、世代間の並体結合マウスを作製し、その皮膚の変化を網羅的なRNAマイクロアレー比較で抽出し、高齢マウスやヒト高齢者の皮膚での蛋白発現変化として比較解析することで、内因性の皮膚の老化現象の本質、さらには可逆性な老化現象の存在の可能性を明らかにしたい。 紫外線や酸化物質など外因性加齢因子の影響の少ない中枢神経や筋肉における加齢による機能低下や器質的変化に関しては、最近は内因性・血液中のトランスファー可能な老化因子(内因性老化)の存在と、その原因物質の探索が注目されている。高齢マウスの血清を若年マウスへ静注することで、短期記憶を形成する海馬神経の細胞と樹状突起が減少し、実際に迷路記憶で観察される短期記憶が低下した。筋組織においても、高齢マウスの血清の添加により筋肉量の低下と細胞数が減少することが知られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、前年度の飼育し、順調に加齢したマウス個体群を使用し始めた。1歳6ヶ月から2歳を越えたマウスを飼育し、6-12週の若年マウスと、皮膚の遺伝子発現を網羅的に解析した。並体結合マウスを作製し、施術4週間後に各種サンプル採取を行い、皮膚RNAのマイクロアレーによる解析を行った。 使用したマウスは、若年マウスと高齢マウスで、若年マウスー高齢マウス、コントロールとして若年マウスー若年マウス、高齢マウスー高齢マウスで並体結合術を行った。統計的な有意性が得られるように、最低、6組の接合体を準備した。通常の加齢の現象のコントロールとして接合施術していない若年マウス、高齢マウス、超高齢マウス(24カ月齢)を用いた。循環系の共有はフローサイトメトリーにより血液中の白血球表面マーカーの違いで確認し、全ての並体結合マウスで循環の共有を確認した。施術4週間後に皮膚、血液、さらに各種のマウス臓器を採取し、解析に使用すると共に、次の機会へ冷凍保存した。採取した皮膚からトータルRNAを抽出し、全てのRNA検体をマイクロアレーにより解析を行ったところ、並体結合術を施術されていない若年マウスでは、施術されていない高齢マウス、超高齢マウスと比較して、early response gene 遺伝子群の発現が弱い、あるいは加齢により、これら早期対応遺伝子群の遺伝子発現が誘導されていた。また、高齢マウスと結合させた若年マウスでも、これらのearly response gene遺伝子群の発現が増加していた。若年マウス同士で結合させた若年マウスでは、施術されていない若年マウスと比較して、優位な遺伝子発現の違いは見られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降は、28年度までの網羅的なマイクロアレー解析で選択した皮膚老化に関わる変動遺伝子の検討を行う。実際の高齢マウス、高齢なヒトの皮膚において、これらearly response geneに規定される蛋白の発現が高まっているかどうかを、免疫染色法やウエスタンブロット法にて確認する。さらに、加齢によりこれらearly response geneの発現を誘導する因子を、他の遺伝子発現より類推することで予想し、中和抗体などによる阻止実験を行う。 またこれらearly response geneの遺伝子以外にも老化に関与する候補の遺伝子をさらに解析し、若年マウスとの並体結合で高齢マウスの皮膚に生じうる逆行性の皮膚の変化を見いだすことで、血中の因子による老化の可逆性に関して、老化皮膚に生じた病態の何が可逆的で、何が不可逆的な変化であるのかを検討する。この解析より、若年血液因子で改善した老化病態、即ち何らかの治療介入により回復可能な、皮膚の老化現象を解明できる可能性が考えられる。 また老化表現形を、ヒトの世代毎の多数の病理切片における免疫組織解析で再確認し、相対的変動を多数の皮膚病理切片において、統計学的に数量化し判定する。 血液中のトランスファー可能な老化因子の探索としては、マウス血液中の可溶性蛋白、脂質ホルモン、マイクロRNA、エクソソームなどの解析を行い、候補物質を抽出する。高齢マウスの血中に存在する内因性老化因子、または若年マウスの血中に存在する抗老化因子の探索により、皮膚の可逆的な老化現象の仕組みが明らかになる可能性がある。
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Research Products
(35 results)