2015 Fiscal Year Research-status Report
安定同位体呼気検査による気分障害におけるセロトニンーキヌレニン仮説の検討
Project/Area Number |
15K09818
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
寺石 俊也 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第三部, 研究生 (90532531)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トリプトファン呼気検査 / 安定同位体 / キヌレニン経路 / うつ病 / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非侵襲的検体検査として注目されている呼気ガス検査を活用し、安定同位体である13C-トリプトファンを用いて、その主要代謝経路であるキヌレニン経路の活性を推定し、気分障害や統合失調症の診断指標/バイオマーカーとしての有用性を検討することを目的とする。 国立精神・神経医療研究センター病院において治療中の気分障害(大うつ病、双極性障害)患者、統合失調症患者、および健常者に対して、研究について口頭及び文書にて説明を行い、書面で同意を得た。本年度は、うつ病13名、統合失調症6名、健常者8名について呼気検査及び血中トリプトファン濃度測定のための採血を行った。患者に対しては、家族歴や既往歴、身体疾患の病歴などの詳細な臨床情報に加えて、気分障害に対してはハミルトンうつ病評価尺度(グリッド版)とヤング躁病評価スケール、統合失調症患者に対しては陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)による症状評価を行った。健常者については、精神疾患簡易構造化面接法(MINI)に基づいた面接を行い、精神疾患の既往や罹患、及び炎症性疾患の既往がないことを確認した。 肝機能検査で異常がみられた者などを除外し、診断別の呼気ガス検査値を比較、トリプトファンと呼気検査の相関について検定した。呼気ガス所見と臨床データ(重症度、薬物)との関連についても解析した。その結果、健常者と比較してうつ病で呼気検査のインデックスが低下する傾向がみられた。また、健常者において、血中トリプトファン濃度と呼気検査の間に負の相関を示す傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリプトファン呼気検査実施者数は順調に増えているが、今年度は躁うつ病の被験者が少なかったため、次年度はこの点に留意して、検査を実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、トリプトファン呼気検査実施者数をさらに増やしていく。 さらに、キヌレニン代謝産物の測定系のパイロット実験を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初の計画より、トリプトファン試薬の支出が抑えられたため、次年度使用額が生じたと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、さらにトリプトファン呼気検査の被験者を増やす予定であるため、トリプトファン試薬の代金として使用する予定である。
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