2015 Fiscal Year Research-status Report
レドックス制御と神経伝達バランスに関するMRIを用いたバイオマーカーの開発
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15K09926
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原田 雅史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (20228654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪間 稔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (20325294)
阿部 考志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (40645347) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レドックス / 還元型グルタチオン / 神経疾患 / MEGA-PRESS / MRS |
Outline of Annual Research Achievements |
3T MRI装置を用いたMEGA-PRESSによってグルタチオン(GSH)の検出能の向上を目的に、パルスシークエンスの改良を行った。これまでのシークエンスでは、GSH検出のための周波数選択180°パルスを4.56ppmに印加したスペクトルと印加しなかったスペクトルを差分していたが、水抑制パルスにも影響を与えるため基線のゆがみと残渣エラーを生じることがあった。そのため、GSH検出のための4.56ppmの周波数選択パルスのスペクトルの他にGSH検出と関係しない水信号の反対側にあたる4.84ppmに周波数選択パルスを加えたスペクトルを取得した。この2種類のスペクトルを差分することで、GSHの検出において水への影響の違いを押さえることを試みた。その結果、正常ボランティアの測定において基線のゆがみが改善して、差分エラーの減少が認められた。 さらに周波数パルスのドリフトについても検討を行い、ファントムでは0.61Hzのドリフトを、ボランティアでは1.22Hzのドリフトが認められたが、いずれも1ポイント以内のずれであり、実測データへの影響はほとんどないと考えられた。また、体動による影響も1ポイントの単発的なずれであるため、補正をする場合は各スペクトル毎に基準スペクトルを収集する必要があると考えられた。 以上から、従来のMEGA-PRESSの基準スペクトル測定時にも水と大差にあたる4.84ppmに周波数選択パルスを印可することによって、GSHの観察が可能な質の高い差分スペクトルが取得可能であると考えられた。 今後本手法を用いて、機能的な神経疾患におけるGSH及び酸化型グルタチオン(GSSG)の評価を行って、レドックス状態の評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
還元型グルタチオン(GSH)の測定精度の向上を目的にシークエンスの改良を試みたが、ファントムや正常ボランティアでは当初の予想通りに、基線の平坦化と差分エラーの減少が認められ、良好な結果を得ることができた。これをもちいて正常ボランティアの測定を行って再現性も確認したが、高齢者のボランティアが少なく年齢差による結果は今後の課題である。また、今後パーキンソン病等の機能的な神経疾患におけるGSHの変化を評価して、レドックス状態の相違を明らかにする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き年齢別及び性別における正常ボランティアでのGSH濃度の変化について検討を行う予定である。その際飲酒やたばこ等の生活歴についても調査を行い、因果関係の有無を検討したいと考える。 機能的な神経疾患に関しては、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症及びアルツハイマー病等を中心にMEGA-PRESS等による評価を行い、その他の画像バイオマーカーや臨床指標との比較を検討する。症例のエントリーが十分であれば、薬剤のGSHに与える影響についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
ボランティアや患者症例の測定が少なかったため、研究協力による謝金額の使用が少なかった。また、ファントム用の化学薬品が今回少量ですみ、次年度のファントム作成費にまわすことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒトでの測定データの蓄積が本年度目的であり、測定回数の増加により研究協力の謝金の支払いが増加すると予想される。また、今年度もファントムによる性能チェックを行う予定であり、ファントム作成費にも使用する。その他結果の学会発表や論文作成費も増加する予定である。
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Research Products
(2 results)