2016 Fiscal Year Research-status Report
レドックス制御と神経伝達バランスに関するMRIを用いたバイオマーカーの開発
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15K09926
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原田 雅史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (20228654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪間 稔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (20325294)
阿部 考志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (40645347) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | MRS / グルタミン酸 / GABA / NAD |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性疼痛患者6名と正常ボランティア6名について帯状回後部に関心領域を設定して、STEAM法によるproton MRSとMEGA-PRESS法によるGABA測定を行った。慢性疼痛の種類としては、頸椎症2名、腰椎椎間板ヘルニア1例、腰部脊柱管狭窄症1例、変形性脊椎症2例である。代謝物濃度を水信号を基準にして定量を行った。有意差を認めた代謝物はGlutamate+glutamine complex(Glx)であり、GlutamateとGlutamineの両方とも患者群で低値を認めた。GABAでは有意差は認めなかったが、GABA/NAA比は患者群で高い傾向を認めた。Neuronal markerであるNAAやCr及びglial markerであるmIns等は有意差を認めなかった。神経伝達関連指標としては、興奮系ニューロンのGlx, Glu及びGlnで患者群で有意に低値であり、抑制系ニューロンのGABAは有意差はみとめないものの、GABA/NAA比で患者群が高値である傾向がみられた。Fayedらは、memantineの効果についてrandomized control trialを施行し、有効症例においてGlxの上昇を報告している2)。これらの結果は、慢性疼痛患者の前部帯状回ではGlxが低下していることを示唆する所見と考えられる。今後さらに症例を追加することにより、慢性疼痛患者における代謝物変化について詳細な検討が可能となると考えられる。 また、レドックスに関係するMRSの測定法として、9ppmを中心に選択的励起パルスを照射して8.5~9.5ppmにおいてNAD+の複数の信号が取得できることをファントムで確認した。ヒトの脳内のNAD+濃度は約0.1mMol程度であると予想されることから測定領域を拡大して、積算時間を延ばすことで、NAD+と思われる信号を取得できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定方法は確立できているため、症例の蓄積によりデータを充実して、臨床有用性を検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
神経伝達物質における測定方法は確立できているため、症例のエントリーを増やしてデータ数を増加していく予定である。レドックスの指標としてはグルタチオン(GSH)と活性酸素の指標となる磁化率効果を定量化して行う。さらに、新たにNAD+の測定法が可能と考えられるため、疾患群と正常群で濃度差が測定できるか検討し、GSH等の他の指標との相関性を見ていく予定である。また、resting fMRI及びASL法も同時に測定しており、これらを統計学的に比較検討して、GABAやGSH等との定量値との関連を比較検討する。使用するプログラムはgroup ICA(GIFT)及びSPMを予定している。
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Causes of Carryover |
測定法の確立はできたが、症例数が予定よりやや少なく、検査数の増加がなかった。また、前例解析が行われておらず、解析に必要なソフト等の購入をまだ行っていない。さらに論文執筆にも至っておらず、論文作成費の使用もなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
症例数の増加のため検査数を増やす予定で、研究協力謝金等に使用する予定である。また、解析も進めるため必要なソフト類の購入も行い、出た成果について学会発表や論文作成を進めて、発表費用として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)