2016 Fiscal Year Research-status Report
がん細胞のレドックス制御による放射線増感と分子機構の解明
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15K09991
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
趙 慶利 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (90313593)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線 / 温熱 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的はxCT阻害剤スルファサラジン、糖ペプチド合成阻害物lysolipin Iと新規抗腫瘍抗生物BU-4664L、ニトロキシドTEMPOを利用して、放射線および温熱による細胞死(アポトーシス、オートファジー細胞死)への影響を調べることである。U937およびMolt-4細胞においてLysolipin IおよびBU-4664Lは処理濃度に依存して細胞死を誘発し、メカニズムはミトコンドリアに関連することが判明した。 また、Molt-4細胞において、Lysolipin Iと放射線併用は細胞死を増強することが確認された、同様に、スルファサラジンと放射線併用による細胞死を増強することが確認された。一方、BU-4664Lについては低濃度で放射線の防護効果が認められた。U937細胞において、Isofraxidinと温熱併用は細胞死を増強することが確認された。HeLa細胞において、TEMPOは温熱との併用により温熱細胞死の増感効果を示し、その細胞死の様式はオートファジー細胞死であることを明らかにした。メカニズム解析にマイクロアレイ遺伝子解析法を利用したところ、オートファジー細胞死にはTP53NP1遺伝子が関与することが判明した。分子シャペロンHSPsと温熱感受性について、HeLa細胞を用いて調べた。温熱単独でHSP70を誘導し、TEMPO併用ではHSP70を抑制した。HSP70はTEMPOによる温熱細胞死の増感に関与することが判明した。HCT116細胞についてもHSP70発現を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロアレイ遺伝子解析法で多量の関連遺伝子発現検出ができ、そのアポトーシスからオートファジー細胞死に転換する遺伝子の一つとしてTP53NP1遺伝子が関与することが判明した。分子シャペロンHSPsの発現と放射線及び温熱感受性についてHSP70がTEMPOによる温熱細胞死の増感に関与することを示した。研究の目的に沿って、研究をすすめ、順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究を継続、オートファジー細胞死に関連するTP53NP1およびLC3の発現をウェスタンブロッディング及び免疫蛍光イメージング方法で検討する。主に、ヒト大腸がん細胞株、HCT-15,HCT116細胞とヒト子宮頸癌HeLa細胞を用いて、細胞死については、アポトーシス、オートファジー様細胞死に加えて、全体の生存率の測定には、コロニー形成法を用いて調べる。調べた薬剤での放射線がん細胞死増強及び保護効果を検証する。培養細胞株を用いた得られた成果をまとめ、細胞内レドックス修飾による放射線細胞死の増強に関する分子機構の解明を目指す。また、研究成果をまとめ論文として公表する。
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Causes of Carryover |
オートファジー検出用のRFP-GFP-LC3蛍光イメージング抗体は新たに開発されたものであるため納品に時間がかかるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度に直ちにこの蛍光抗体を購入し正確なオートファジーの検出を行う予定である。
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Research Products
(1 results)