2016 Fiscal Year Research-status Report
RNA干渉を利用した抗ドナーHLA抗体産生形質細胞に対する特異的治療戦略
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15K10022
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
羽根田 正隆 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 研究員 (50436995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 孝彰 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70314010) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 形質細胞 / siRNA / 遺伝子導入 / 抗ドナー抗体 / ELISpot assay |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:抗ドナー特異的抗体産生形質細胞のみをターゲットとした抗体産生抑制効果がえられるsiRNAを作成する事をゴールとするが、ターゲットが少量である事や抗ドナー抗体を産生する形質細胞のみで研究を行うには少量すぎて効果判定が難しい。そのため、抗ドナー抗体の相補性決定領域(CDR;complementary detemining region)をターゲットとしてsiRNAを作成するのではなく、抗体の基本骨格であるフレームワーク領域(FR:framework region)をターゲットとしてsiRNAを作成し、siRNAの抗体産生抑制効果を検討することとした。 方法:ヒト末梢血中の形質細胞をミルテニー社のWhole Blood CD138 マイクロビーズkitを用いて採取し、短期間培養を行いIgG1およびIgM特異的産生形質細胞数をELISPOT assayにて判定した。この培養系に対して、IgG1およびIgMのFR特異的なsiRNAを設計、作成し、核酸導入を行い、抗体産生細胞数の減少率を検討した。 結果および考察:siRNAtransfection試薬の選定:GenomeOne-Siを利用してsiRNAを細胞に導入を試みた。mRNAレベルおよびELISpotアッセイで抗体産生の抑制を認めたものの、ネガティブコントロール(試薬のみ)でも抑制され、形質細胞へ安定的に遺伝子導入できる試薬の選定が必要となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
primary cultute B細胞についてはAMAXA社のNucleofector kit が有効との報告があるが、当施設では持ち合わせていないため、導入は困難であった。他にlipofectamine 2000および3000を使用したが、形質細胞に対して遺伝子導入試薬を使用する事で、殺細胞効果が現れ、特異的抑制効果についての判定が困難であった。現在lifpofectamineRNAiMAXを試みている。 形質細胞への遺伝子導入に関してほとんど報告がなされていないが、近年β溶血性連鎖球菌A、CおよびG群によって産生されるスルフヒドリル活性化毒素であるストレプトリジンOを用いた形質細胞へのsiRNA導入の報告がされた(J Immunol Methods. 2008 Apr 20;333(1-2):147)。しかしながらこの試薬は毒物であるため使用が難しく他の方法についても検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
形質細胞にsiRNAを導入出来る試薬について学会および文献検索にて様々な情報を取り入れ、より安定的に行えるよう引き続き検討をしてゆく。現在候補となっているのは、QIAGEN社から販売されている「SuperFect Transfection Reagent」およびSigma Aldrich社から販売されている「ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー」である。特にPAMAMデンドリマーについては細胞傷害性活性が脂質系のトランスフェクション試薬より低く、安定的な遺伝子導入が可能と行った報告があり、今後これらの試薬を用いたsiRNA導入を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に遅れが生じており、それに合わせて計画遂行のために必要な物品の購入に滞りが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画とは異なるが、形質細胞へのsiRNA導入を安定的に行う必要がある。 そのため、QIAGEN社から販売されている「SuperFect Transfection Reagent」およびSigma Aldrich社から販売されている「ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー」を候補に考えている。特にPAMAMデンドリマーについては細胞傷害性活性が脂質系のトランスフェクション試薬より低く、安定的な遺伝子導入が可能と行った報告がある。PAMAMデンドリマーの側鎖数が6の場合でDNA plasmidを用いた遺伝子導入の研究報告がいくつかみられるものの、siRNAでの研究報告はみられなかったため、適切な側鎖数についての検討も必要と考えている。これらの試薬を購入し、形質細胞へのsiRNA導入を行う予定である。
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