2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10036
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
猪口 貞樹 東海大学, 医学部, 教授 (60160008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎名 隆 東海大学, 医学部, 准教授 (00317744)
安藤 潔 東海大学, 医学部, 教授 (70176014)
平山 令明 東海大学, 糖鎖科学研究所, 教授 (70238393)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒト皮膚由来細胞 / HIF-1α / PHD阻害剤 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、各種PHD阻害剤によるヒト表皮細胞、真皮線維芽細胞、HaCaT細胞における低酸素誘導因子(HIF-1α)の安定化を確認のうえin vitroでの遺伝子発現の変化を検討した。 【方法と結果】①各細胞を各種濃度のPHD阻害剤(DMOG、DFO、CoCl2およびTM6008)に暴露後、経時的にRNAを回収し、cDNA microarray(39,031 probes)を用いて発現遺伝子の網羅的解析を行った。その結果、各PHD阻害剤に対する表皮細胞と真皮線維芽細胞の遺伝子発現の変化は大きく異なっていること、HaCaTは両者に類似していることが明らかになった。TM6008は培地への溶解度が低く、反応が不安定であった。 ②上記で得られた発現遺伝子のデータから、各PHD阻害剤に対して大きく増加する線維芽細胞の遺伝子303種類が抽出された。このうち17は既知のHIF1下流遺伝子であり、低酸素環境下のエネルギー代謝、血管新生、apoptosis、細胞増殖などに関連するものであった。 ③上記各サンプルを用い、q-PCRにてVEGFの発現を定量した。DMOG、DFO、CoCl2に暴露した線維芽細胞におけるVEGFの発現は、いずれも濃度依存的に増加していたが、表皮細胞におけるVEGFの発現増加は明らかではなく、microarrayの結果とよく一致していた 【考案】表皮細胞と線維芽細胞は、低酸素誘導遺伝子が大きく異なることが明らかになった。またPHD阻害剤に対して線維芽細胞で発現の増加する遺伝子の多くは、低酸素耐性に有益と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種PHD阻害剤によりヒト皮膚由来細胞でHIF-1αが安定化することを確認のうえ、ヒト表皮細胞、真皮線維芽細胞の遺伝子発現変化を網羅的に解析したところ、真皮線維芽細胞では低酸素耐性に有益な変化が確認された。現在、表皮細胞における遺伝子発現の変化についてmicroarrayデータ解析中であり、また蛋白レベルでの特定遺伝子の発現も確認中であることから、計画は概ね順調に進展している。 なお、研究者らの開発したPHD阻害剤(TM6008)は脂溶性が高く、培地中での濃度が不安定なことが判明したため、現在薬剤の改変による可溶化を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、PHD阻害剤による表皮細胞での遺伝子発現の変化と各細胞の蛋白レベルでの変化の確認を実施のうえ、in vivoでのPHD阻害剤の機能を動物実験を実施する予定である。 並行して、PHD阻害剤(TM6008)の改変による可溶化を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は、主に遺伝子の解析を行い、蛋白の発現変化について解析を行わなかったため、試薬類(抗体、ELISキット等)の購入が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
蛋白の発現変化について解析の実施を計画しているため、関連試薬類を購入する。
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