2016 Fiscal Year Research-status Report
化学療法施行乳癌におけるOSNA法によるセンチネルリンパ節転移診断の有用性の検討
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15K10051
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島津 研三 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30448039)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳癌 / 術中迅速診断法 / センチネルリンパ節生検 / サイトケラチン19 |
Outline of Annual Research Achievements |
術前化学療法を施行した88症例における乳癌手術の際に摘出された115個のセンチネルリンパ節あるいは185個のノンセンチネルリンパ節(腋窩リンパ節郭清にて得られたリンパ節)を4分割し、交互に2切片ずつOSNA法による転移検索と通常の病理診断による転移検索を行った。その結果、OSNA法の精度はセンチネルリンパ節がノンセンチネルリンパ節に比べて劣る結果であった。特に微小転移の感度の低いために転移全体が低くなっていた。その原因として、リンパ節転移におけるCK-19mRNAの発現がセンチネルリンパ節ではノンセンチネルリンパ節に比べ有意に低下していることがmRNA in situ hybridizationによって明らかにされた。次に術前化学療法を施行していない症例でOSNA法によって転移が認められた症例を対象にノンセンチネルリンパ節の転移を予測するnomogramの作成を試みた。今後は術前化学療法施行症例においても同様のnomogramを作成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
術前化学療法施行症例および非施行症の両方においてセンチネルリンパ節とノンセンチネルリンパ節の転移部位でのCK-19mRNAの発現についてmRNA in situ hybridizationによって検索を行い、センチネルリンパ節の転移部位のおけるCK-19mRNAの発現はノンセンチネルリンパ節のそれに比べ低く、その傾向は術前化学療法施行症例において有意に非施行症例よりも顕著であった。化学療法のCK-19mRNAの発現への影響をさらに検索するため術前化学療法前に針生検にて採取した乳癌組織と化学療法施行後に手術にて得られた乳癌組織におけるCK-19mRNAの発現と化学療法を行っていない症例の術前術後の乳癌組織におけるCK-19mRNAの発現をmRNA in situ hybridizationによって比較したところ化学療法施行前後のほうがCK-19mRNAの発現の低下が非施行症例のそれにくらべ有意に低下していることが分かった。以上よりOSNA法における感度の低下は化学療法の影響による転移部位におけるCK-19mRNAの発現の低下が原因と考えられた。一方、術前化学療法を施行していない症例におけるノンセンチネルリンパ節転移予測する因子は臨床的腫瘍径、最大コピー数、TTL(転移リンパ節のコピー数の合計)であることを多変量解析にて明らかにした。この3因子でノモグラムを作成したところ、そのArea of under curve (AUC)は0.712であった。このノモグラムの精度は術後因子を含むノモグラムとほぼ同等であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の統計解析を有効に行うために当初の目標症例数を100から150に変更して解析を行う。現在までのmRNA in situ hybridizationによる研究で化学療法施行症例のおける転移部位でのCK-19mRNAの低下が確認されたので、OSNA法による転移診断の至適なcut-off値を新たに設定する。さらに、術前化学療法を施行していない症例によるノンセンチネルリンパ節転移を予測するnomogramにつづき、術前化学療法施行症例における同様のnomogramの作成を試みる。
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Causes of Carryover |
研究が順調に進み消耗品が節約できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費に組み込み使用する。
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