2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞内シグナル伝達に着目した肝再生制御機構の解明と腫瘍細胞増殖制御への応用
Project/Area Number |
15K10163
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
丸橋 繁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20362725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 浩志 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00572554)
浅岡 忠史 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60528470)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肝再生 / シグナル伝達 / リン酸化 / コンディショナルノックアウトマウス / サイトカイン / 腫瘍増殖制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、c-metコンディショナルノックアウトマウスを作成し、肝再生における必須サイトカイン経路(IL-6、HGF、EGFR)に関してnegative/positive challengeを行い、得られた再生肝における細胞内シグナル伝達機構を解析し、肝再生における調節分子(Regulation molecules)を同定する。さらに同定したRegulation moleculesによる肝再生制御機構を解明する事を目標としている。 マウス70%肝切除モデル手技を安定させるため、C57BL/6Jマウスを用意し70%肝切除を実施した。術後輸液、保温、栄養などに工夫を行うことで、肝再生実験に必要である72時間以上の生存率90%以上を達成することが出来ている。 遺伝子組換え実験マウスは、米国Jackson mice社のc-met flox/floxマウスの輸入を試みたものの、現在卵子まで保存されており、マウスとして入手するまでに少なくとも6ヶ月以上の期間が必要で、費用も2ペアで150万円程度であることが判明した。その結果、c-metに対して、コンディショナルノックアウトマウスを用いる代わりに、分子標的薬(選択的MET阻害剤、PHA-665752、Chemscene、NJ)及び、選択的抗体阻害薬(Monoclonal Rat IgG2A Clone、#118627、R&D systems、MN)を購入し、使用することとした。 IL-6系の受容体抗体である、抗マウスIL-6R モノクローナル抗体(ラット)(MR16-1)(Immunology Letters 84(2002)231-240)を用意し、マウスに投与する準備を行った。 また、解析に際し、マウス網羅的遺伝子発現解析のマイクロアレイ・チップを本学トランスレーショナルリサーチセンターで開発し、結果を得られるよう準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験動物の調達に関して、様々なソースからの提供をお願いしたものの実現が困難であり、費用面での制限もあり、最終的には分子標的薬及び抗体を用いることとした。 動物モデルとして、70%肝切除モデルを作成したが、手技の安定に期間を要した。 以上の理由で、研究はやや後れを取っているが、今後効率的な研究を行う事で当初の目標通りに研究が進むよう努力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
HGF/c-met系の抑制、IL-6Rの抗体である、MR-16投与によるIL-6系の抑制を行うことで、当初の予定していた細胞内シグナル伝達の遮断を達成し、サンプル採取、解析を行う予定である。 ネガティブ・チャレンジにはEGFRも使用し、これら3通りのシグナル伝達遮断の影響を分子生物学的および細胞内分子のリン酸化といった視点から、その制御機構を解明する。 さらに、腫瘍増殖における、細胞内シグナル伝達の影響を、肝細胞株を用いて行い、肝細胞癌特有の腫瘍増殖制御法を調査する。
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Causes of Carryover |
実験動物の調達に関して、様々なソースからの提供をお願いしたものの実現出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の目標通りに研究が進むよう、試薬、実験器具等、消耗品の購入に充てる。
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