2016 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用を目的としたゲムシタビン耐性膵癌における癌幹細胞マーカーCXCR4の検討
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15K10192
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
竹山 廣光 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00216946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 洋一 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40381800)
森本 守 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (60722569)
佐藤 崇文 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (10747257) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CXCL12 / CXCR4 / CXCR4 antagonist / 膵癌 / ゲムシタビン耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌に対する化学療法はゲムシタビン(Gem)が広く使用されているが,効果は満足のいくものではなく,その理由には耐性化がある.我々はGem耐性の膵癌細胞株(Gem-R)を樹立し,癌幹細胞マーカーのCXCR4の発現が増強していることを見いだした.これをもとに,平成27年度にはGem-RはGem感受性株(Gem-S)よりCXCR4発現が亢進していること,さらにGem-RはGem刺激によりさらにCXCR4発現が亢進することを確認した.これらの研究成果をふまえ,平成28年度には以下の研究を行った. (B)Gem耐性化による膵癌細胞株の分子生物学的特徴の変化とCXCL12/CXCR4 axisの関与の検討.(B1)Gem-SおよびGem-Rの増殖能変化を増殖試験(WST-1 assay)で検討した.In vitroでは両群にはあきらかな増殖能の変化を認めなかった. (B2)Gem-SおよびGem-Rの浸潤の変化を浸潤実験(Matrigel invasion assay)で検討した.CXCL12刺激で,両群とも浸潤能が亢進したが,Gem-Rの方が有意にGem-Sに比べ浸潤能が高く,これはCXCR4 antagonistによって有意に抑制された. (B3)CXCL12刺激の代わりに,線維芽細胞との共培養を行い,同様にGem-RとGem-Sの浸潤能の変化を比較し,CXCR4 antagonistの効果を検討した.CXCL12より線維芽細胞との共培養によりGem-Rの浸潤能は有意に亢進した.この浸潤能はGem-RにおいてGem刺激によりさらに亢進した.またこの亢進はCXCR4 antagonistにより抑制された. これらの結果をふまえ,in vivoでの効果を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Gem耐性膵癌細胞株を樹立し,感受性株,耐性株でCXCR4発現に差を認め,これにより浸潤能がゲムシタビン耐性により亢進することが明らかとなった.またゲムシタビンに耐性化すると,ゲムシタビンの刺激によりさらにCXCR4の発現が亢進し,浸潤能がさらに亢進することが明らかとなった.ゲムシタビン+CXCR4 antagonistの臨床応用の可能性が高まると考えられた.
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Strategy for Future Research Activity |
これらの研究成果をふまえ,平成29年度には動物実験を予定している. (C)Gem耐性化による増殖能の変化とCXCL12/CXCR4 axisの関与の検討 nude mice を用いたorthotopic modelでGem耐性(Gem-R)による腫瘍増殖の変化を検討し,CXCR4inhibitorによる抗腫瘍効果を確認する(in vivo).CXCR4発現が亢進しているGem-Rでは,CXCR4の制御はさらなる抗腫瘍効果を持つと予想される. (C1)動物実験モデルおよびプロトコール:Male athymic NCr nude mice(N=5/group)を用いる. ルシフェラーゼを遺伝子導入した膵癌細胞(Gem-S, Gem-R)を同所性に移植する.移植法はBouvet M et alの報告に従って行う.移植後一週間毎に,IVIS200(Xenogen)を用いて腫瘍サイズの変化を測定する. (C2)CXCR4 inhibitorによる抗腫瘍効果の検討:Gem-SまたはGem-Rを同所性に移植し, 30日後からVehicle群とCXCR4 inhibitor群(CXCR4 inhibitor)にわけ処理を行う.1回/週の腹腔内投与で4週間処置を行う.一週間毎に,IVIS200(Xenogen)を用いて腫瘍サイズの変化を測定する. (C3)免疫染色 Formalin-fixed, paraffin-embedded (FFPE) sectionsをKi-67,CD31,およびTunel染色し,両群における増殖,血管新生,apoptosisを比較検討する.これらの免疫染色は手技的に確立している.
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