2015 Fiscal Year Research-status Report
iPSバンクにおける三座ホモ由来他家iPS細胞由来心筋細胞シートの有用性の検討
Project/Area Number |
15K10212
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斎藤 俊輔 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30600126)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 繁 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授(常勤) (70544237)
福嶌 五月 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80596867)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | iPS細胞 / MHC適合移植 / 免疫学的拒絶反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、同種他家iPS細胞由来心筋細胞のMHC適合移植における心機能改善効果を検討した。方法としてiPS細胞はMHCハプロタイプがHT1のカニクイザルから樹立し、GFP遺伝子を導入したものを使用。心筋細胞へ分化誘導後、シート化(1.2×107 cells)し、MHCがHT1ヘテロ(n=2)とHT1非保有(n=2)の心筋梗塞モデルに移植しコントロール群(n=2)と比較した。移植群には免疫抑制剤を投与した。iPS細胞由来心筋細胞シート移植後、実態顕微鏡を用いてGFP蛍光強度にて生存を定量的に0週、12週、16週、24週で評価した。12週16週で、一部肉眼的に確認出来た移植iPS細胞を生検し組織学的評価としてHE染色、免疫染色(GFP抗体、CD3抗体、α-sarcomeric actin抗体)を行った。結果はiPS細胞由来心筋シート移植後1ヶ月で、コントロール群と比較し、MHC適合、非適合移植の両群で、LVEFとLVESVの改善を認め、その後も維持された。また、MHC非適合移植では、移植後3ヶ月あるいは4ヶ月の時点でTリンパ球の浸潤を認め、免疫拒絶反応が認められたが、MHC適合移植ではTリンパ球の浸潤は認められなかった。また、GFP蛍光強度は、MHC非適合移植群で3ヶ月から4ヶ月にかけて低下傾向であったが、MHC適合移植群では維持された(4ヶ月目;MHC適合群;34.9 vs MHC非適合群;21.7 vs sham群;9.9)。現時点では、MHC適合移植群の方が、非適合移植群と比較し、iPS細胞由来心筋シートの生着が延長する傾向にあったが、心機能改善効果においては両群で明らかな差が認められなかった。本研究において、MHC適合/非適合移植の両群において臨床的有効性が示唆され、MHC適合移植の心機能改善効果に対する有用性はさらに長期間検討する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において律速段階となる部分は、iPS細胞の準備と心筋梗塞モデルの作製である。iPS細胞の心筋細胞への分化に必要な試薬の供給が滞ったり、細胞の分化誘導がうまく行かない場合があり、実験が延期したことがある。また、iPS細胞を移植出来たとしても、術後に心不全があまりに重症で最後まで実験が遂行できない場合を経験し、計画通り進む訳ではないが、根気よく実験を継続することで概ね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、心機能評価としてPET画像を加えることを検討している。また、得られた心筋組織の蛋白の遺伝子発現や染色による評価を行い、iPS細胞の生着と心機能の評価を詳細に行っていく方針である。
|
Causes of Carryover |
iPS細胞から心筋細胞への分化誘導に使用する消耗品費用を予定より抑えることが出来た
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
iPS細胞の培養に必要な試薬類PCRや染色に必要な試薬類に使用する予定である
|