2015 Fiscal Year Research-status Report
幹細胞移植による心筋再生療法-アクチン重合制御因子Fhod3を用いた新たな試み-
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15K10219
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
帯刀 英樹 九州大学, 大学病院, 助教 (40343321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 恭久 九州大学, 大学病院, 助教 (20529870)
藤本 智子 九州大学, 大学病院, その他 (40567377)
牛島 智基 九州大学, 大学病院, その他 (70529875)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心筋疾患外科学 / Fhod3 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はその第一段階として、Fhod3ノックアウトマウスへのFhod3強制発現の効果を視認した。Fhod3は心臓以外に脳と腎臓にも発現しているが、今回使用したノックアウトマウスは心臓、脳、腎臓すべてにおいてFhod3たんぱく質としては発現しないマウスであった。αMHCは胎生5日頃に一過性に発現するがその後は消失し、生後に再び発現するという発現パターンを持つため、心筋組織が形成される時期には十分な量のαMHCが発現していないことが、心筋形態異常の原因と予想された。そのため、今回は胎生早期(胎生7.5日頃)より心筋特異的に発現するβMHCプロモーターを使用してFhod3-/- マウスに外来性にFhod3を強制発現させ、αMHCプロモーターを使用した際と比較検討した。βMHCプロモーター下にFhod3を強制発現させたFhod3-/- マウス(Fhod3-/-; βTg+) は胎生18.5日まで生存可能であった。その心臓は、心室腔の拡大や心筋の緻密化障害は認められず、野生型マウスの心臓と同程度の発達を認めた。また、たんぱく質の過剰発現によって心筋組織の発達異常が生じる可能性もあるため、野生型マウスにFhod3を過剰発現させたβMHC-Fhod3Tg+マウスの心臓も解析したところ、野生型マウスの心臓と同様の形態であった。以上より、胎生7.5日以降にFhod3が十分量あることで心室筋の緻密化が正しく行われることが推測された。この時期は心筋線維の最小の収縮単位であるサルコメアが発達を開始する時期と一致しており、サルコメア内のアクチンフィラメントをFhod3が制御していることもあわせると、心筋サルコメアの正しい成熟が正常心筋繊維を形成するのに必要であり、それにはFhod3の制御が必要不可欠であると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、第一段階として、Fhod3ノックアウトマウスへのFhod3強制発現の効果を視認する事が出来た。研究成果として、予想された結果に近いかたちで仮説が検証されつつある為。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、野生型マウスとFhod3-/-; βTg+マウスおよびFhod3-/-; βTg+マウスの心筋組織の免疫染色を行っており、Fhod3の局在および他のたんぱく質との局在関係を調査中である。
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