2016 Fiscal Year Research-status Report
アデノ随伴ウィルスを用いて遺伝子導入した歯髄幹細胞移植による新規脳梗塞治療の開発
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15K10317
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
仁藤 智香子 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30409172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 智 日本医科大学, 医学部, 助教 (00366733)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯髄幹細胞 / 局所脳虚血 / 肝細胞増殖因子 / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて肝細胞増殖因子(HGF)を強発現させた歯髄幹細胞 (DPSC)の移植により,急性期脳梗塞における治療効果の増強が得られるか検討した. HGFをクローニングした1型AAVベクターを構築後,DPSCに感染させHGF強発現DPSC(DPSC/HGF)を準備した. ラット中大脳動脈を90分閉塞後に再灌流し, 治療群は, 対照群, DPSC単独群, DPSC/HGF群の3群に分けた. DPSC単独群およびDPSC/HGF群では再灌流直後に細胞1×106個を, 対照群にはPBSを尾静脈より投与した. 再灌流24時間後に神経学的評価を行った後断頭して評価した. 虚血再灌流24時間後において, DPSC単独群は対照群に比し有意な梗塞(p <0.01)・浮腫 (p <0.05)の縮小を認め, 神経徴候も有意に改善(p <0.01)した. また, DPSC/HGF投与群ではDPSC単独群と比較して有意な梗塞体積の縮小(p <0.05)および神経徴候の改善(p <0.01)を認めた. また, DPSC/HGF群では皮質梗塞境界領域におけるIba1, TNF-αの発現が対照群やDPSC単独群に比して有意に抑制(p <0.01 vs対照群,p <0.01 vs DPSC単独群)されており, FJC陽性神経細胞も有意な減少(p <0.01 vs対照群,p <0.01 vs DPSC単独群)を認めた. ラット局所脳虚血モデルにおいて, 経静脈的にDPSCを投与することにより脳虚血障害の軽減を認めた. また, HGF発現強化により,DPSC移植は急性期虚血傷害後の虚血脳組織における炎症反応を抑制し,神経保護効果に寄与する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
治療遺伝子を導入した歯髄幹細胞を用いて、虚血再灌流障害における脳保護効果を示すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
神経保護効果のメカニズムの追求やその他の治療遺伝子を用いることによる脳保護効果の検討も行う予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定だった備品を購入する必要がなくなったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初購入を予定していた備品以外の物品を購入する費用に当てる予定
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