2016 Fiscal Year Research-status Report
iRNA導入神経細胞を用いたバイオイメージング:麻酔薬の神経保護、傷害機序の解明
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15K10512
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澁田 達史 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20324767)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 静脈麻酔薬 / 幼弱神経 / 初代培養神経細胞 / 低酸素 / 神経細胞死 / カルシウムイメージング / マイトジェン活性化プロテインキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、静脈麻酔薬チオペンタールナトリウムの低酸素曝露に対する神経保護作用の評価を以下の通り調べることに成功した。研究代表者の澁田が既に確立している初代培養大脳皮質神経細胞モデル(Shibuta S et al., Neuroreport 12;12(2):295-8 2001)を利用した。妊娠17日目ウイスターラットより仔体大脳皮質並びに海馬を取り出し、初代培養神経細胞を作成した。2週間の神経細胞培養の後、低酸素インキュベーター(ASTEC water jacket type multi-gas incubator, APM-30D)内に24時間留置した。その際に、既に神経保護作用が示された濃度のチオペンタールナトリウム(Shibuta S et al., Br J Anaesth 97 (4): 517-24. 2006)を投与し、生存していると判定された培養神経細胞に対し、刺激伝達物質であるN-methyl-D-Aspartate、グルタミン酸、アセチルコリンをそれぞれ投与し、カルシウムイメージング法にて神経細胞内のカルシウム濃度の変化をZeiss Axiovert 200, Hamamatu photo C8214, ORCA-ERを用いて測定し、アクアコスモス(浜松フォトニクス)にて解析を行った。上記の研究に関しては北米神経科学会(サンディエゴ)、日本麻酔科学会関西地方会(神戸)などで発表を行い、大きな反響を得た。ろくに関西地方会では優秀演題に選出された。 更に、上記の細胞培養システムを使用したMAPK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)及びその関連シグナルの阻害薬であるJNK阻害薬、MEK1/2阻害薬、PDK-1阻害薬、フォスフォリパーゼC阻害薬を投与し、細胞生存率に対する影響を調べる研究も続行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、神経保護作用を示す静脈麻酔薬チオペンタールナトリウムの幼弱神経細胞に対する質的な評価を調べることに成功した。原著論文に関しても、Thiopental sodium preserves the responsiveness to glutamate but not acetylcholine in rat primary cultured neurons exposed to hypoxia (T. Morita, S. Shibuta, J. Kosaka, and Y. Fujino, Journal of the Neurological Sciences 365: 126-131)に引き続き、新規原著論文作成が進行している状況である。また、MAPK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)及びその関連シグナルの阻害薬であるJNK阻害薬、MEK1/2阻害薬、PDK-1阻害薬、フォスフォリパーゼC阻害薬を投与し、細胞生存率に対する影響を調べる研究もデータが安定しつつあることも順調であると考える要因に挙げられる。一方で、PC12細胞に対して、LipofectamineTM RNAiMAX Transfection Reagent (Life technologies )を用いて、遺伝子導入条件の確認を行う研究に関しては、現時点でPC12細胞の最適な培養条件を概ね得られつつあるめ、「2.おおむね順調に進展している。」との判断を下した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究に関しても、当初の通り進める予定である。以下に記述する。 PC12細胞に対して、LipofectamineTM RNAiMAX Transfection Reagent (Life technologies )を用いて、遺伝子導入条件の確認を行う。PC12細胞に対するsiRNAの導入状況の確認として、GAPDH遺伝子に対するsiRNA(ポジティブコントロールのsiRNA)を導入し、GAPDH遺伝子(ポジティブコントロールsiRNAがターゲットとしている遺伝子)がノックダウンできているかを観察する。上記のポジティブコントロール確認後、siRNA(Silencer®; life technologies)によるNR-1, HIF-1α、p-53遺伝子の発現抑制モデルの導入条件検討を行う。これらの検証はReal Time PCR、及びウエスタンブロッティング法によって行う。 遺伝子導入方法としては、コストや使用するsiRNA量による細胞毒性の点などから試薬(LipofectamineTM RNAiMAX)による導入を第1選択とするが、充分に標的遺伝子がノックダウンできない場合には、エレクトロポレーションによる遺伝子導入システム(Neon(R) Transfection System: life technologies)の使用を考慮する。
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Causes of Carryover |
研究は予定通り進み、残額は研究をより発展させるため来年度予算として試薬等、購入をするため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬、動物(ラット)および成果発表のための旅費や成果論文執筆の準備等に使用する予定である。
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