2015 Fiscal Year Research-status Report
骨髄間質細胞移植による癒着性くも膜炎及び難治性神経障害性疼痛に対する治療法の確立
Project/Area Number |
15K10552
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関 俊隆 北海道大学, 大学病院, 助教 (80241446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹森 徹 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (40746848)
岩崎 素之 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (50748837)
七戸 秀夫 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80374479)
寳金 清博 北海道大学, 大学病院, 教授 (90229146)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 動物脊髄損傷モデル / 癒着性くも膜炎 / 異痛症 / 改良型動物脊髄損傷用脳動脈瘤クリップ / BBBスコア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,脊髄損傷後に続発する癒着性くも膜炎および脊髄空洞症の病態の解明とこれに起因する難治性疼痛(異痛症)に対する治療法を確立することにある. 当初,動物脊髄損傷の作製には外国製の改良型脳動脈瘤クリップを使用する予定であった.しかし,高価で,さらに100匹毎の使用で製造元へ郵送し,メンテナンスを行うことが必要であった.そのため,本邦の企業に協力を要請し,独自の動物脊髄損傷用脳動脈瘤クリップを作製することとした. 通常の脳動脈瘤クリップの閉鎖圧は150gであり,これでは脊髄は離断してしまい完全脊髄損傷となってしまう.そのため,クリップの閉鎖圧を35gに調節し脊髄損傷を作製した.しかし,完全脊髄損傷に近い状態であったため,クリップ閉鎖圧を30gに下げ,さらにスリップ防止のためにブレード内側面に加工されている窪みを取り除き,脊髄との接触面をスムースにした.これによって過度の脊髄損傷を回避することが可能となり,中等度の脊髄損傷の作製が可能になると考えている.現在,このクリップを使用した脊髄損傷ラットを作製し経過観察中である.中等度脊髄損傷の指標は後肢運動機能評価(BBBスコア)で8~9点であるが,現在のところ脊髄損傷後のBBBスコアは損傷後4週間で6点と,まだ手技の修練と多少の改良は必要あるが,安定した動物脊髄損傷ができつつあると考えている.また,異痛症に関しては,von Frey hairsキットを用いて評価を行っている.動物脊髄損傷モデルでは,脊髄損傷2週目から異痛症を認め,週を追うごとに疼痛閾値の低下を認めている.このことからも安定した動物脊髄損傷モデルが確立されつつあると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物脊髄損傷の作製には,外国製の動物脊髄損傷用に改良した脳動脈瘤クリップを使用する予定であったが,高価で,メンテナンスにも費用と時間がかかるため (製造元へ郵送する必要がある),本邦の企業に協力を依頼し,独自の動物脊髄損傷用脳動脈瘤クリップを作製することとした.これには,大掛かりな装置を必要としない,安価で入手しやすい,さらに国産でありメンテナンスが容易である,といった利点がある. 通常の脳動脈瘤クリップの閉鎖圧は150gであり,これでは脊髄は離断してしまい完全脊髄損傷となってしまう.そのため,クリップの閉鎖圧を35gに調節し脊髄損傷を作製した.しかし,完全脊髄損傷に近い状態であった.そのため,クリップ閉鎖圧を30gにし,さらにスリップ防止のためにブレード内側面に加工されている窪みを取り除き,脊髄との接触面をスムースにした.これによって過度の脊髄損傷を回避することが可能となり,中等度の脊髄損傷の作製が可能になると考えている.中等度脊髄損傷モデルの指標であるが,協調運動はできないが,何とか歩行が可能なレベルで,後肢運動機能評価(BBBスコア)で8~9点を基準に考えている.現在のところ脊髄損傷後のBBBスコアは損傷後4週間で6点と,まだ手技の修練と多少の改良は必要あるが,安定した動物脊髄損傷ができつつあると考えている.また,本研究の目的である異痛症治療に関しては,von Frey hairsキットを用いて異痛症の評価を行っている.現在作製中の動物脊髄損傷モデルでは,脊髄損傷2週目から異痛症を認め,週を追うごとに疼痛閾値の低下を認めている.このことからも安定した動物脊髄損傷モデルが確立されつつあると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度前半で改良型脳動脈瘤クリップを用いた動物中等度脊髄損傷モデルを確立させる.後半期ではこのモデルを使用し,既存の神経保護薬剤,Bone marrow stromal cellを用いて脊髄損傷後の癒着性くも膜炎に起因する異痛症に対する治療効果について検討する.
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Causes of Carryover |
動物中等度脊髄損傷モデルがまだ未完成であり,そのため当該年度の物品費が当初の予定よりも低支出であった.次年度前半に動物脊髄損傷モデルが完成させ,後半期にこのモデルを用いて異痛症に対する治療実験を行う予定であり,それに使用するための物品費がかかる見込みである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物脊髄損傷モデル作製のためのラットの購入,脊髄損傷後の異痛症の評価のためのvon Frey hairsキットの購入,病理組織(免疫染色を含む)作製のための試薬の購入,治療実験のための薬剤の購入に使用する.
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