2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the pathology of spinal cord adhesive arachnoiditis and establishment of treatment
Project/Area Number |
15K10552
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関 俊隆 北海道大学, 大学病院, 助教 (80241446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹森 徹 北海道大学, 大学病院, 助教 (40746848) [Withdrawn]
岩崎 素之 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (50748837)
七戸 秀夫 北海道大学, 大学病院, 准教授 (80374479)
寳金 清博 北海道大学, 大学病院, 教授 (90229146)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 異痛症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,脊髄続発する脊髄癒着性くも膜炎および外傷性脊髄空洞症の病態の解明と難治性疼痛(異痛症)に対する治療法を確立することにある.当初脊髄損傷の作製にはカナダのトロントで使用している改良型脳動脈瘤クリップを使用する予定であった.しかし,高価で,さらに100匹毎の使用に対してトロントへ郵送しメンテナンスをする必要があることが判明した.そのため本邦の企業へ依頼し独自の動物脊髄損傷用脳動脈瘤クリップを作製することとした. 通常ヒトへ使用する脳動脈瘤クリップの閉鎖圧は150gであり,この圧のまま脊髄損傷を作製した場合,脊髄を離断し完全損傷になってしまう.そのため閉鎖圧を30gに調節し,さらにスリップ防止のためにブレードの内側面に加工されている窪みを取り除き脊髄との接触面をスムースにして脊髄損傷を作製した.これによって過度の脊髄損傷を回避することが可能となり,中等度の脊髄損傷作製が可能となった.中等度脊髄損傷の目安は後肢運動機能評価(BBBスコア)で21点満点中8点前後であるが,6週間の経過観察でBBBスコアが7.4点と理想的な脊髄損傷モデルが作製できた.これは既存のトロントで使用しているクリップを使用した脊髄損傷とほとんど差がなかった(BBBスコア; 7.5点).また異痛症の評価はvon Fray hairsキットを使用した.異痛症は脊髄損傷翌日から認められ,6週間の経過観察中で疼痛閾値の低下を認めた.これも既存のクリップと似たような経過をたどっており安定した脊髄損傷モデルが完成したと考えている.しかし,残念ながら治療実験までには至らなかった. この,本邦で開発した改良型脳動脈瘤クリップを使用したラット脊髄損傷モデルは2018年にトロントで開催されるNeuroTrauma2018で報告する予定である.
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