2016 Fiscal Year Research-status Report
胚盤胞腔液内のDNAを用いた無侵襲性着床前診断技術の確立と臨床への応用
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15K10680
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐藤 剛 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (80326149)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 着床前診断 / 胚盤胞 / 胚盤胞腔液 / WGA / MDA / PCR / array CGH |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の実験においては、胚盤胞腔液(BCF)内のcell free DNA (cfDNA)の全ゲノム増幅 (WGA) の方法としてmultiple displacement amplification (MDA)を用いたが、網羅的で均等な増幅が得られていない可能性があり、それがarray CGHでの全染色体の数的異常検出における十分な結果が得られない原因であることが推察された。 そのため、WGAの方法としてPCR-baseの増幅方法について検討を行った。試薬はRUBICON GENOMICS社のキット PicoPlex WGA Kitを用い、テンプレートのDNAは筋強直性ジストロフィー (DM1) の患者の血液から抽出したDNAを用いた。DNA量は、10ngからBCF内に存在するDNA量に相当する10pgまで5段階の濃度設定で行った。 20検体での施行の結果、それぞれの濃度のDNAから平均53.3ng/μl (37.4-67.6ng/μl)(総量 2805ng ~ 5070ng)の収量が得られ、その後の解析には十分なDNA量であった。 増幅したDNAを用いた、DM1のトリプレットリピート領域に対するnested PCR - fragment解析では、該当患者のCTGリピートに一致する結果が得られた。PicoPlexでのWGAにより得られたDNAは、単一遺伝子疾患の診断が可能な状態であると考えられた。 現在、PicoPlexで増幅したDNAを用いてarray CGHによる全染色体の数的異常に関する解析を進めている。まだ少数の検体での解析であるが、平成27年度に行ったMDAで増幅したDNAを用いての解析より良好な結果が得られつつある状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BCF採取、WGA、array CGH、筋強直性ジストロフィーのトリプレットリピート領域に対する解析とも問題なく遂行できている。 WGAの方法として、PicoPlexを採用することにより、MDAを用いた場合より、微量なDNAからある程度網羅的に増幅ができていると推測され、その点において進展が見られている。平成29年度は胚盤胞腔液(BCF) 内のcell free DNA (cfDNA)を検体としての解析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
1. BCF採取技術の改善を行う。BCF採取方法は28年度までの方法でも問題はないと考えられるが、BCF内cfDNAをよりよい状態で採取する目的で、より細い穿刺針を用いてBCF採取を行う。 2. PicoPlexにて増幅したDNAを検体としてarray CGHを行う。PicoPlexにより増幅した患者DNAでのarray CGHの解析を引き続き行い、全染色体の数的構成に対する診断率が向上するよう条件等を検討・調整する。 3. BCF内cfDNAをPicoPlexにより増幅し、それを用いて着床前診断を前提とした解析を行う。PicoPlexにより増幅したBCFのcfDNAを用いて、筋緊張性ジストロフィーに対するfragment解析を行う。また、PicoPlexにより増幅したBCFのcfDNAを用いて、染色体数的異常に対するarray CGHでの解析を行う。
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