2016 Fiscal Year Research-status Report
緑茶カテキンのがん細胞殺傷のしくみに基づいた新しい子宮頸部病変治療法の開発
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15K10721
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
横山 正俊 佐賀大学, 医学部, 教授 (40230669)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 子宮頸癌 / 化学予防 / 緑茶カテキン / HPV |
Outline of Annual Research Achievements |
1.子宮頸部発癌モデルにおけるEGCGとPDE5阻害剤併用による細胞増殖抑制効果 子宮頸部由来不死化細胞株においてもPDE5 阻害剤(vardenafil)の細胞増殖抑制効果を検討した。HPV18陽性不死化細胞株においては、これまでの研究でも腺由来の細胞株は扁平上皮由来の細胞株に比べ、緑茶ポリフェノールの増殖抑制効果が弱かったが、今回veardenafil 5μMを併用することでEGCG 10μMという低濃度でも90%程度の強い増殖抑制効果が認められた。扁平上皮由来の細胞株での効果はさらに強力で、95%の増殖抑制効果だった。この濃度は緑茶を実際に飲用した場合の血中濃度に近く、またvardenafilの濃度も臨床応用されている男性性機能障害治療薬バイアグラを服用した場合の血中濃度に近い。 2.子宮頸癌由来細胞株における効果 HPV18陽性腺癌由来細胞株であるHeLaにおいてさらに詳細な検討をおこなった。 EGCG10μM単独での増殖抑制効果は、veardenafil 5μM単独と同様、ほとんど認められなかった。EGCG50μMでも増殖抑効果はなかったが、veardenafil 5μMの併用でEGCG10μMであっても約30%の効果が認められた。 3.子宮頸癌症例におけるHPVタイピング 子宮頸癌症例においてHPVタイピングを行い、今後EGCGとDE5阻害剤の併用効果とHPV型との関連を調べるための基礎データとした。40歳未満の若年者の子宮頸癌は、90%以上がHPV16あるいはHPV18陽性であり、また腺癌はHPV18陽性であった。 これらの結果は、若年子宮頸癌や腺癌症例におけるEGCGによる治療や化学予防の可能性を十分示唆するものであり、今後予定どおり研究を継続する意義が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、研究を継続させる妥当性の検討、そして次年度は、その発展の意味合いがあった。子宮頸癌由来細胞株、とくにHPV18由来の子宮頸部腺癌株でもEGCGとPDE5阻害剤併用による細胞増殖抑制効果が確定できた事は、大きな意味があった。また、子宮頸部多段階発癌モデルにおいて異形成に相当する不死化細胞株における極めて強い効果は、異形成を外科的でなく内服により治療できる可能性を示唆する結果であった。また、若年子宮頸癌や腺癌症例でHPV16/18の陽性率は極めて高かった結果は、今回検討している治療法の対象となり得ることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
併用効果の重要な因子であるPDE発現に組織型や進行期で差があるかを検討する。また、異形成でも検討する。さらに、効果のメカニズムの解明も進めていく。
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Causes of Carryover |
端数が生じたたため、あえて使い切らずに次年度に回すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度も予定に従って研究を行う。また、物品費と予定していた一部をその他として、HPVタイピング検査費用にも支出する予定である。
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Research Products
(5 results)