2015 Fiscal Year Research-status Report
全身性自己免疫マウスを用いたANCA関連血管炎による内耳障害機序の解明
Project/Area Number |
15K10759
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
吉田 尚弘 自治医科大学, 医学部, 教授 (90291260)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 難治性中耳炎 / ANCA関連血管炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性中耳炎として現在まで原因不明であった症例の中にANCA関連血管炎性中耳炎が存在することが近年明らかになっている。このANCA関連血管炎性中耳炎は治療により可逆的に回復する早期の骨導閾値上昇、引き続く永久的な聴力障害が認められるがその内耳における障害部位、聴力障害をおこすメカニズムは不明であり、本研究では様々な表現型を示す全身性自己免疫マウスを作成し、ANCA関連血管炎性中耳炎の内耳障害の機序、治療戦略を明らかにすると同時にヒトにおけるANCA関連血管炎性中耳炎の臨床像、中耳、内耳組織標本におけるサイトカインの発現の検討を通じて病態を明らかにすることを目的とする。本年度は、週齢別の聴力や音響、薬物の易受傷性が詳細に検討されているCBA/Jマウスを用いて抗甲状腺薬Propylthiouracil (PTU)とphorbol myristateacetate(PMA)の投与によるPTU-PMA誘導マウスの作成を試みた。PTU(10mg/day)の経口投与およびPMA(1ug)の腹腔内投与を行い、また経口よりPTU(10mg)を含んだ水50mLを与え、好中球をmyeloperoxidase(MPO)抗体で染色することによりMPO-ANCA陽性となる条件を検討し、経口30日程度の投与が必要な可能性が示唆されている。一方、ANCA関連血管炎を含む難治性中耳炎の臨床病理組織より、サイトカインの発現を網羅的に解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ANCA関連血管炎性中耳炎のモデルマウスには糸球体腎炎及びANCA関連血管炎を発症するSCG/Kjマウスの報告があるが、凍結杯から胚移植を行う必要がありモデル動物の選定作成に時間を要している。Propylthiouracil (PTU)とphorbol myristateacetate(PMA)の投与によるPTU-PMA誘導マウスを作成を試みMPO陽性マウスの作成をすすめている。今後はさらにANCA関連血管炎を含む難治性中耳炎の臨床病理組織を含めて、サイトカインの発現、エラスターゼの酵素活性を測定するNeutrophil Extracellular Trap (NET) Assay Kitを用いて内耳における部位別のNETsの形成量を測定、局在の違いの検討を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
SCG/Kjマウスは糸球体腎炎及びANCA関連血管炎を発症するモデルマウスである。血清中のmyeloperoxidase(MPO)-ANCA値は,初期段階から高値を示し,本マウスにおいて活性化好中球は全身の血管炎を生じ様々な表現型を呈し難聴の存在が示唆されており、本マウスの凍結杯から胚移植後生まれた生体の分譲を引き続きすすめる。本マウスが入手後は、まず全身型に伴う経時的聴力・内耳機能の変化について5週、10週、20週令についてその聴覚機能をを評価、中耳の状態、さらに、血管条機能を反映する内リンパ電位を測定し血管炎に伴う内耳機能変化を測定し、経時的変化を測定する。また、ANCA関連血管炎を含む難治性中耳炎の臨床病理組織より、サイトカインの発現、エラスターゼの酵素活性を測定するNeutrophil Extracellular Trap (NET) Assay Kit を用いて内耳における部位別のNETsの形成量を測定、局在の違いの検討を進める。
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Causes of Carryover |
ANCA関連血管炎性中耳炎のモデルマウスには糸球体腎炎及びANCA関連血管炎を発症するSCG/Kjマウスがあり初年度の計画で使用予定していたが、凍結杯から胚移植を行う必要があり時間を要したたため、計画年度2年目に予定していたCBA/Jマウスを用いた実験系に変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ANCA関連血管炎性中耳炎のモデルマウスには糸球体腎炎及びANCA関連血管炎を発症するSCG/Kjマウスの凍結杯から胚移植から生体への作成を進める。CBA/Jマウスを用いた実験、さらにヒトにおけるANCA関連血管炎性中耳炎の臨床像、中耳、内耳組織標本におけるサイトカインの発現の検討を通じて病態を明らかにするあわせて進める。
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Research Products
(4 results)