2015 Fiscal Year Research-status Report
高解像度内圧計を用いた嚥下リハビリテーション手技に関する基礎的・臨床的研究
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15K10812
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鮫島 靖浩 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (50206009)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | swallowing pressure / chin-down / HRM / neck flexion / head flexion |
Outline of Annual Research Achievements |
嚥下障害のリハビリテーションで、Chin Down手技は喉頭挙上や閉鎖の障害、咽頭残留、嚥下反射の惹起遅延がある患者によく用いられる。しかし、Chin Down手技は施行者により多少異なり、上部頸椎を前屈する頭部屈曲位、下部頸椎を前屈する頸部屈曲位、その両者を複合した複合屈曲位に分類される。この3種類のChin Down手技が嚥下圧動態にどのように影響するか、高解像度咽頭食道内圧計(MaonScan)を用いて検討した。対象は、平均26.4歳(21-35歳)の健常成人26名(男性10名、女性16名)とした。正面視と3種類のChin Down手技で、冷水5mLを嚥下した時の軟口蓋部・中下咽頭部・UES部の最大内圧及びUES部の平圧化持続時間を測定し、それぞれの検査結果を比較検討した。 その結果、各部位の最大嚥下圧は、軟口蓋部、中下咽頭部においては正面視と3種類のChin Down手技で差がみられなかった。しかし、UES部では正面視に比べて頸部屈曲位と複合屈曲位で有意に最大内圧が低下した。UES部の平圧化持続時間は、正面視に比べて頸部屈曲位で有意に延長し、頭部屈曲位では短縮した。頸部屈曲位ではUES部の最大内圧が低下し、UESの平圧化持続時間の延長したことから食塊のUES通過には最も有利と考えられる。一方、頭部屈曲位では各部位の最大内圧に変化がなく、UESの平圧化持続時間が短縮したことから食塊のUES通過には不利である。しかし、今回の検討は健常成人を対象とした圧のみの検討であり、更なる検討が必要である。この結果は、Laryngoscope 126:437-441, 2016に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画として、1)正常ボランティアを対象とした3種類の顎引き嚥下における嚥下圧測定とインピーダンス測定による検討、2)咽頭残留の多い嚥下障害患者に対する3種類の顎引き嚥下による嚥下圧測定とインピーダンス測定による検討を予定していた。この中で、初年度の目標であった計画1の正常ボランティアに対する3種類の顎引き嚥下の嚥下動態を嚥下圧の面から解析し、英文論文にも掲載できたので、ほぼ予定通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)計画1の正常ボランティアを対象として、3種類の顎引き嚥下におけるインピーダンスを計測してその意義について検討する。 2)計画2の咽頭残留の多い嚥下障害患者を対象として、3種類の顎引き嚥下における嚥下圧とインピーダンスを測定する。
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