2015 Fiscal Year Research-status Report
網膜におけるキサントフィルの新機能探索と代謝調節機構の解明
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15K10867
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森實 祐基 岡山大学, 大学病院, 講師 (50432646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 朋子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30304299)
菅原 満 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60332467)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ルテイン |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢黄斑変性(以下AMD)は失明に至る難治性の眼疾患であり、酸化ストレスによる網膜色素上皮細胞(以下RPE)の障害が原因で発症する。酸化ストレスからRPEを保護するために、網膜に存在する生体色素(キサントフィル)が重要であると考えられている。しかしその機能や網膜内での代謝調節機構については不明な点が多い。申請者はこれまでの臨床経験と予備実験から、「キサントフィルは抗酸化作用以外にも機能を有するのではないか」また、「キサントフィルの網膜内代謝調節にはAMP活性化プロテインキナーゼ(以下AMPK)が重要な役割を果たすのではないか」との着想に至った。そこで本研究では、網膜におけるキサントフィルの新たな機能を探索し、さらに網膜内代謝調節におけるAMPKの役割を明らかにし、AMDに対する効果的な予防法開発の基盤となる研究を行う。 今年度は、キサントフィルの内、ルテインについて、網膜色素上皮細胞への取り込みの定量化を行った。網膜色素上皮細胞としてはARPE-19とヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞を用いた。これまでにルテインを細胞に取り込ませた研究は数多く報告されているが、いずれも細胞表面にルテインが強固に接着するため、正確な細胞内取り込み量を定量できないという欠点があった。そこで、今回は、transwellを細胞培養に用いて、網膜色素上皮細胞に取り込まれるルテイン量を定量することに成功した。この結果によって、今後AMPKの活性化が取り込み量や代謝量に及ぼす影響を評価できるようになるため、極めて重要な成果と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの実験手技の課題を克服する検討方法を確立するに至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を基盤に予定通り研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
実験手法の確立に予定よりも多くの検討を要したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の成果を基に次年度の研究を行うため、有効に使用可能であるといえる。
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