2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K10912
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
佐々 由季生 福岡大学, 医学部, 講師 (80580315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 龍禎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00464248)
石橋 達朗 九州大学, 大学病院, 病院長 (30150428)
向野 利寛 福岡大学, 医学部, 教授 (40117106)
福島 修一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
吉田 茂生 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50363370)
安井 武史 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (70314408)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | SEMA4A / 視神経炎 / 原田病 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこの一年間で、これまで福岡大学筑紫病院及び九州大学病院に受診され、凍結保存していた患者血清中のSEMA4Aタンパク濃度について検討を加えた。増殖糖尿病網膜症・裂孔原生網膜剥離・網膜前膜・白内障・ぶどう膜炎・視神経炎を含む計約160人の患者の平均SEMA4A濃度は3225U/mlであり、この濃度は、個々人で非常に大きなばらつきを認めた。視神経炎やぶどう膜炎などの疾患を持つ患者では高い傾向が認められ、高い場合には40000U/mlを超える場合もあれば、100U/ml以下の患者がほとんどであった。 疾患別では、視神経炎(平均4546U/ml, n=9)と平均よりは高く、3000U/mlを超える患者は全体の44%に認めた。一方で炎症性疾患の代表であるぶどう膜炎は全体で(平均3054U/ml,n=25)と患者平均と変わらない結果であったが、原田病患者は(平均5136U/ml , n=13)と高値であり、その他のぶどう膜炎では(平均799U/ml, n=12)と低い傾向にあり、ぶどう膜炎の中でも原田病でSEMA4Aの果たす役割が大きいことが分かった。原田病患者では、ステロイドパルス治療によってSEMA4A値が著しく低下することが明らかになり、病勢との関連について今後の検討を行う予定である。 一方で、裂孔原生網膜剥離術前患者(平均2659U/ml, n=19)や、増殖糖尿病網膜症術前患者(2252U/ml,n=17)では3000U/mlよりは低い値となり、これらの疾患で血清中のSEMA4Aの働きは限定的である可能性が示唆された。 我々は術中に得られた硝子体サンプルについても硝子体内のSEMA4A濃度について検討を加えた。硝子体内SEMA4A値は血清中の濃度と比較して1オーダー低く、平均213(U/ml, n=12)であった。硝子体中SEMA4A値は、黄斑前膜で低く(平均113U/ml, n=4)、増殖糖尿病網膜症で高い傾向(平均237U/ml, n=4)を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
患者血清を集めて濃度を検定するため、検討に必要な疾患サンプルを集める必要がある。視神経炎は年間5人ほどが当院に受診する。そのため、今後は広く患者血清を集めるように九州大学を含めた関連病院に協力を呼びかける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
血清中及び硝子体中の濃度が明らかとなり、視神経炎や原田病患者血清中のSEMA4A濃度が高いことが明らかとなっている。今後は患者数を増やすことで、この結果が、確かであることを証明する予定である。また、硝子体中のSEMA4A値は血液中に比較して低く、眼内ではより厳密にSEMA4A濃度がコントロールされている可能性が示唆された。 生体内濃度を参考として、SEMA4Aタンパクの機能解析について眼内の細胞を用いて、検討を加える予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、細胞実験を含めたSEMA4Aタンパクの機能解析を行う前に生体内SEMA4Aタンパク濃度について検討を加えた。そのため細胞実験に費やす予定の費用を使用せずに、そのため支出額が少なかった可能性がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は患者血清及び硝子体内SEMA4A濃度を検討するとともに、その濃度を参考にして、眼疾患でのSEMA4Aの機能解析を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Overexpression of CD163 in vitreous and fibrovascular membranes of patients with proliferative diabetic retinopathy: possible involvement of periostin.2015
Author(s)
Kobayashi Y, Yoshida S, Nakama T, Zhou Y, Ishikawa K, Arita R, Nakao S, Miyazaki M, Sassa Y, Oshima Y, Izuhara K, Kono T, Ishibashi T
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Journal Title
Br J Ophthalmol.
Volume: 99(4)
Pages: 451-456
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Increased Expression of M-CSF and IL-13 in Vitreous of Patients with Proliferative Diabetic Retinopathy: Implications for M2 Macrophage-involving Fibrovascular Membrane Formation2015
Author(s)
Shigeo Yoshida, Yoshiyuki Kobayashi, Takahito Nakama, Yedi Zhou, Keijiro Ishikawa, Ryoichi Arita, Shintaro Nakao, Masanori Miyazaki, Yukio Sassa, Yuji Oshima, Kenji Izuhara, Toshihiro Kono, and Tatsuro Ishibashi
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Journal Title
Br J Ophthalmol.
Volume: 99(5)
Pages: 629-634
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Increased vitreous concentrations of MCP-1 and IL-6 after vitrectomy in patients with proliferative diabetic retinopathy: Possible relation to postoperative macular edema2015
Author(s)
Kubo Y, Kobayashi Y, Zhou Y, Nakama T, Yamaguchi M, Tachibana T, Ishikawa K, Arita R, Nakao S, Sassa Y, Oshima Y, Kono T, Ishibashi T.
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Journal Title
Br J Ophthalmol.
Volume: 99(7)
Pages: 960-966
Peer Reviewed / Open Access
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