2015 Fiscal Year Research-status Report
末梢及び中枢神経再生のための人工基質と成長因子の応用
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15K10960
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
平井 達也 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第5研究部, 研究員 (50465952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 義久 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第5研究部, 研究主幹 (30243025)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経再生 / 人工材料 / 成長因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに脊髄損傷の治療方法として、空洞化した脊髄組織に私達の考案した人工材料と共に成長因子を移植することで神経軸索の伸長を促すことが可能であることを確認し報告してきた(2015年、24回日本形成外科学会基礎学術集会)。しかしながらも、臨床応用を考慮すると中枢神経再生の為の移植術は大きなリスクを伴うものと考えられる。このことから末梢神経での神経軸索伸長と生体への安全性を確かめることが重要であると考えた。その方法として、生後4週のラットを用いて、坐骨神経及び腓骨神経と脛骨神経を切断し、人工材料と共に塩基性繊維芽細胞成長因子を加えて切断部位に移植し、術後から継時的に行動学的観察と組織学的観察を行うこととした。術後8週では、肉眼的には離断した坐骨神経と腓骨神経、脛骨神経は結合しており、顕微鏡観察から髄鞘を伴って軸索が伸長していることを確認できた。また、肉眼での観察では移植した人工材料は残存していないかのように見えたが、顕微鏡観察では微量ながらも残存している人工材料を認めた。神経軸索は、この残存している人工材料の隙間を通って伸長していた。 以上のことから私達の利用している人工材料は細胞再生の環境を整えているものと考える。また、塩基性繊維芽細胞成長因子は生体の様々な組織の再生に利用されているが、中枢神経や末梢神経の再生にも有用であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経軸索伸長において、人工材料の改良を検討中である。また、神経軸索伸長の為の成長因子として塩基性繊維芽細胞成長因子を利用しているが、それ以外にも神経軸索伸長の為に有用であると考えられる様々な成長因子や刺激因子が無数に存在しており、それらの中から最も有効であると考えられる因子を同定し検討するべきである。また、逆に神経軸索伸長に対して抑制的に働く因子も報告されており、これら抑制因子の検討も行うべきであると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
移植用人工材料の改良点として、私達の利用している人工材料は生体内吸収材料であるがより早く吸収されるのか、若しくはより長く存在し続けるのか、そのどちらが細胞再生に有効であるのか検討する。この人工材料を構成する分子を変えることで生体内での残存期間を調整することができる。また有効な成長因子としてHIF-1が知られているが、このHIF-1を有効に発現させることを検討する。発生学的には接着因子としてN-カドヘリンやT-カドヘリン等が神経細胞の成長に欠かせない因子であることが報告されており、これらの因子と神経細胞再生の関わりを精査することで更なる神経軸索伸長を検討する。
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Causes of Carryover |
本研究は中枢神経、及び末梢神経の再生を目的としており、神経障害モデルラット樹立と神経再生の為の手術は全て微小手術となる。安定した手術方法と結果を得るためには高価な微小手術用器具の必要があり、さらに実験モデルラットを繰り返し手術を行っていかなければならない。その為、今年度の予算を上回ることとなり、次年度の研究予算に加えて新たに微小手術用器具と実験モデルラットの購入を行い実験を進めていく。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
微小手術用器具として50万円、実験モデルラットの購入費として10万円を必要と考える。
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Research Products
(3 results)