2016 Fiscal Year Research-status Report
ARDSにおける糖尿病パラドックスの謎の解明と新たな治療戦略の探索
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15K10977
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
松村 一弘 滋賀医科大学, 医学部, 特任教授 (50378486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 和典 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70402716)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 呼吸窮迫症候群 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性呼吸窮迫症候群(Acute respiratory distress syndrome: ARDS)は、肺の炎症と透過性亢進を特徴とし、急性発症、両側性陰影、低酸素血症を呈するが心原性肺水腫ではない病態としてとらえられている。2012年のベルリン定義での報告では、重症での死亡率は45%に達しており、新たな治療法の探索が急務とされている。近年糖尿病患者でARDS発症率が低下するという「糖尿病パラドックス」とも称される現象が臨床研究にて報告された。申請者らは糖尿病における骨髄由来細胞の異常化による機能不全につき調査を行っており、この発症率の低下は骨髄由来細胞によるものである可能性が高いと考えている。本申請は、今までとは違ったアプローチにてARDSの病態生理を明らかとすると共に新たな治療法を勘案するものである。 平成28年度は実験的ARDSの作製法に対する検討を行った。マウスに対し、経気管的にLPS(Lipopolysaccharide)吸入させることにより生じる肺炎モデル、硫酸ブレオマイシンを経気管的に吸入させることにより生じる肺炎モデルの両者を作製し、薬剤投与量による影響、肺炎の程度、肺炎発症時の2型肺胞上皮細胞(肺胞サーファクタントA陽性細胞)の形態学的観察を現在も行っている。今後同様の肺炎モデルをGFPトランスジェニックマウスの骨髄を移植したマウスにおいて作製し、骨髄由来細胞の肺炎における動き、2型肺胞上皮細胞の減少おるいは増加の有無につき調査を行う。また、GFPトランスジェニックマウスの骨髄移植マウスに糖尿病を発症させた後、実験的肺炎モデルを作製した後の肺炎の程度、肺炎発症時の2型肺胞上皮細胞(肺胞サーファクタントA陽性細胞)の形態学的観察を行う予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肺炎モデルの安定的作製に時間を要しているため、肺炎における骨髄由来細胞の動態の観察に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験的ARDSモデルマウスを作製し、骨髄由来細胞の役割につき検討を行い、ARDSの病態解明を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成28年度の使用にて、1円の残金が生じた。この金額で研究遂行に必要なものは購入できず、次年度に持ち越したいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費として使用したいと考えている。
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