2017 Fiscal Year Research-status Report
マウス熱射病モデルにおける遺伝子組み換えトロンボモジュリンの神経保護作用の解明
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15K10993
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮本 和幸 昭和大学, 医学部, 助教 (80555087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大滝 博和 昭和大学, 医学部, 准教授 (20349062)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱中症 / 神経傷害 / 遺伝子組み換えトロンボモジュリン / 神経変性 / 血液脳関門 |
Outline of Annual Research Achievements |
最重型の熱中症(熱射病)は病態が全身性炎症反応症候群(SIRS)から高サイトカイン血症, Bacterial translocationを引きおこし, 臓器傷害・播種性血管内凝固へ進展することが知られている。しかし、熱中症の詳しい病態については未だにわかっていない点が多く、このため早期の全身冷却以外に確立された治療法がないのが現実である。日本で開発された遺伝子組み換えトロンボモジュリン(rTM)は播種性血管内凝固症候群の治療として広く臨床で用いられその有用性が認められている。 熱中症は全身に炎症が惹起されることから、前年度は、血漿中、組織(大脳皮質・脳幹・小脳・肝臓・腎臓・小腸)の炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-6, IL-1β, HMGB1)、抗炎症サイトカイン(IL-10)をElisaを用いて測定し、大脳皮質・小脳において有意にrTMが炎症性サイトカインを低下させることを確認した。しかし、IL-1β, HMGB1などのサイトカインはElisaでは濃度が低く検出できなかった。このため、今年度は炎症性サイトカイン(IL-1β, HMGB1)、酸化ストレスマーカー(iNOS)マーカーの発現をReal time PCRで定量する予定である。熱中症後24時間・1週間のモデルを作成し、すでにRNA抽出からcDNAの作成まではすべて終わっている。Real time PCR装置の不具合も改善したため、来年度に順次測定をおこなう。 また、組織にについてはHE標本、KB染色(脱髄を観察する染色方法)で確認をおこなったが、いずれも光学顕微鏡上ではあきらかな有意差は認められなかった。このため、残ったブロックから新たに切片を切り出して免疫染色(GFAP, NeuN, Iba1, CD31)をおこない評価をおこなっていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、Elisaでは有意差のでなかったサイトカインの差をみるために、PCRを実施することとした。熱中症後24時間、1週間のマウスを犠牲にし、大脳皮質・小脳・脳幹にわけてサンプルを作成した。サンプル作成にあたり、小脳では細胞数がすくないため、十分はRNAが採取できず、難渋したために時間がかかった。従来の方法では十分な量が採取できなかったことから新しい方法を用いてRNAを採取した。この準備・条件検討に時間を要した。また、Real time PCRの条件検討、Reat time PCRを測定する装置の不具合によりに時間を要した。現在、不具合も解消し、すでにcDNAの作成まで終了しているためすぐにとりかかることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、Elisaに加えて、熱中症後のマウスの大脳皮質・脳幹・小脳を別々に採取し、PCRをおこなう予定である。これによりElisaでは検出できない遺伝子の発現を確認することができると考える。すでに、Real time PCRの条件検討も終わっていること、サンプルのc-DNA作成も終わっていることからすぐに実施可能な状態である。 また、これまでのHE染色・KB染色では有意な差がでていない。このため、微少な差も検出できる免疫染色を追加し、血管内皮の状態、グリア細胞・神経細胞について評価をおこなっていく。また、神経細胞・線維の状態を観察する目的で、標本を追加で作成し、走査電子顕微鏡で観察をおこなう方針である。
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Causes of Carryover |
Real time PCRの機器の不具合のため、Real time PCRの実験に時間がかかり、PCR関連物品の購入が次年度に繰り越しになった。また、組織切片の作成を研究室でおこなうこと、検鏡については研究室内で判断が可能となったため、外部委託による検鏡が減少したために費用を節約できた。
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