2016 Fiscal Year Research-status Report
患者口腔粘膜線維芽細胞を用いた新規遺伝子変異によるゴーシェ病発症メカニズムの解明
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15K11041
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三好 圭子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (20304537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野間 隆文 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (40189428)
堀口 大吾 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (70304532)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口腔粘膜線維芽細胞 / エクソーム解析 / データマイニング / GCase結合タンパク質 / SiRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、難治性疾患の1つであるゴーシェ病に関わる新規疾患関連遺伝子変異を同定し、その病態発症メカニズムを解明することである。これまでの全エキソーム解析をもとに、疾患との関連性に着目し、さらなるin silicoデータマイニングにより、1000余りの候補遺伝子群を抽出した。今年度はさらに候補を絞り込むため、1. Mutation Tasterによるアミノ酸の変化に伴うタンパク質の機能変化予測、2. BioGRIDによる分子間相互作用データベースに基づくGCase結合タンパク質スクリーニング、3. 患者・家族の口腔粘膜線維芽細胞由来RNAを用いたマイクロアレイ解析、の3つのアプローチを行った。その結果、候補遺伝子群を百数十まで絞り込んだ。 当初、絞り込んだ疾患関連候補遺伝子群に対してGain-of-function解析、ついでLoss-of-function解析を行い、同定する計画であったが、候補遺伝子群の数が想定以上に多いことから研究計画の順番を変更することとした。具体的にはLoss-of-function実験を先行させ、ハイスループット酵素活性測定法を用いて候補遺伝子の絞り込みを加速させたのち、Gain-of-functionにて機能回復を確認し、疾患関連候補遺伝子を同定することにした。現在、百数十の候補遺伝子群に対するSiRNAのデザインと合成が完了している。 また、2.で抽出した遺伝子については、Loss-of-function実験と並行してGCaseとの相互作用について解析していく予定である。 したがって、研究の進捗状況はやや遅れているが、全体としては目標に向かって前進していると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに得られたエクソーム解析結果のデータマイニングにより1000余りの候補遺伝子群を抽出したが、さらに絞り込むため、1. Mutation Tasterによるアミノ酸の変化に伴うタンパク質の機能変化予測、2. BioGRIDによる分子間相互作用データベースに基づくGCase結合タンパク質スクリーニング、3. 患者・家族の口腔粘膜線維芽細胞由来RNAを用いたマイクロアレイ解析、の3つのアプローチを行った。 その結果、1.により、候補を百数十まで絞り込むことができた。2.では、既知情報に基づくデータベースのため情報に限界があるものの、3遺伝子のみが抽出され、さらに変異解析の結果、2遺伝子に変異が認められた。さらに3.の発現遺伝子解析のプロファイルからは 1.および 2.でリストされたエクソーム解析結果との関連は見いだせなかった。 以上の結果を踏まえると、当初、候補遺伝子同定にはまず、Gain-of-function解析を行う計画であったが、現時点では候補遺伝子数が想定以上に多く、ベクター作製等の作業工程が膨大となる(1遺伝子につき、変異型・正常型の2種類の発現ベクターが必要)。これは実施に困難が想定されるため、研究計画の順番を変更し、Loss-of-function実験を先行させることにした。これは候補遺伝子群をSiRNAによりノックダウンし、GCase活性に及ぼす影響をスクリーニングすることで、効率良く候補遺伝子群を絞り込むことができる。現在までに 1.及び 2.で抽出した全ての遺伝子に対し、アルゴリズムに従い、各2種類のSiRNAをデザインし、合成を完了した。 また、2.の遺伝子についてはLoss-of-functionの実験を並行して、これらの遺伝子にコードされたタンパク質とGCaseの相互作用を確認し、機能を解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、まず今年度準備したSiRNAを用いたLoss-of-function 実験を行い、疾患関連候補遺伝子を絞り込む。具体的にはGCase酵素活性を指標に、昨年度確立したハイスループットスクリーニング実験を行って、酵素活性を減弱させるGBA以外の新規疾患関連候補遺伝子を絞り込み、その変異状況の確認を行う。さらに絞り込んだ候補遺伝子について、Gain-of-function解析を行い、疾患関連遺伝子であることを同定する。GCase結合タンパク質については、結合活性を確認した上で、変異を持つ候補タンパク質がGCase活性に与える影響を評価する。 一方、in vitro疾患モデルシステムを確立するため、すでに樹立している健常者のiPS細胞を用いてマクロファージ及び神経系の細胞分化系を構築し、評価系を確立する。さらに患者由来iPS細胞を用いて同様の分化実験を行い、その過程、または分化後、負荷をかけたときの脂質代謝等において、ゴーシェ病の表現型が再現できるか、in vitroモデル系の構築を試みる。モデル系の構築により、疾患メカニズムの解明および新規治療法の開発にチャレンジする予定である。
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Causes of Carryover |
SiRNAの合成について、当初予定していた金額より少額で購入できたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究に必要な試薬や消耗品の購入の際に合算して有効に使用する。
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Research Products
(1 results)