2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the sweet receptor as an energy sensor
Project/Area Number |
15K11045
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
實松 敬介 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70567502)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 味覚 / 甘味受容体 / TAS1R2/TAS1R3 / 味覚修飾物質 / ミラクリン |
Outline of Annual Research Achievements |
味細胞に発現する甘味受容体TAS1R2/TAS1R3は、全身の様々な臓器に発現し、エネルギー受容センサーとして生体恒常性の維持に寄与することが示唆されている。生体恒常性の破綻は、生活習慣病につながる可能性があり、甘味受容機構の解明により、これらの予防、治療に役立つ味覚修飾物質の発見や、創薬につながることが期待される。その基礎として、甘味受容体TAS1R2/TAS1R3と基質との結合特性および受容体の生理的機能を解明することが必要不可欠である。そこで本研究では、甘味受容体再構築系を用いて(1)甘味受容体TAS1R2/TAS1R3と味覚修飾物質の相互作用の解明、それを応用した(2)新規味覚修飾物質の探索を目指した。 甘味修飾物質ミラクリンは、酸性条件下で甘味を誘導するが、強酸と弱酸でその効果が異なり、弱酸で強く甘味誘導を引き起こすことが知られている。弱酸は、非解離体のまま細胞膜を通過し、細胞内で解離することで、細胞内pHを低下させる。これにより、甘味受容体の細胞内領域をプロトン化することで、ミラクリンと甘味受容体の相互作用を促進し、甘味誘導を強く引き起こすことが示唆された。 また、最終年度は、新規味覚修飾物質の探索を主に行った。その結果、ヒト甘味受容体hTAS1R2/hTAS1R3を発現させたHEK293細胞において、ある生体内物質を加えると人工甘味料サッカリンの甘味応答を完全ではないが、抑制することが明らかとなった。この抑制は、マウス甘味受容体mTas1r2/mTas1r3を発現させた細胞では小さく、感受性に種差があることが分かった。このことから、全身に発現する甘味受容体は、その生体内環境に応じて、種特異的にその感受性を変化させエネルギーセンサーとして機能している可能性が示唆された。
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