2015 Fiscal Year Research-status Report
Er:YAGレーザー仕上げ照射歯質の性状解析とポリ酸・RMGI系接着材の新規開発
Project/Area Number |
15K11138
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
冨士谷 盛興 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (60190055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千田 彰 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (80097584)
山田 三良 昭和大学, 歯学部, 講師 (20350936) [Withdrawn]
掘江 卓 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (50579993)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Er:YAGレーザー / 象牙質 / ボンディング材 / レジン添加型グラスアイオノマーセメント / レジン / 接着強さ |
Outline of Annual Research Achievements |
痛みを生じない程度の低出力でEr:YAGレーザー照射した象牙質に対し良好な接着性を示すレジン接着システムの開発を目的として,低出力照射(50mJ/1pps)した象牙質,および低出力照射により生じた構造欠陥や熱変性層を可及的に除去することができるフィニッシング照射(50mJ/1pps照射後150mJ/1ppsで仕上げ照射)した象牙質に対し,レーザー照射象牙質に対しても比較的安定した接着性を示すといわれるレジン添加型グラスアイオノマーセメントをベースにしたボンディング材(RMGI)の接着性を,従来のレジン系のボンディング材(CR)のそれと比較検討した。 その結果,低出力照射した象牙質におけるRMGIおよびCRの接着強さは,いずれも非照射象牙質の場合よりも低かった。また,フィニッシング照射を施した象牙質においては,低出力照射時に生じた構造欠陥や熱変性層はほぼ除去されていたが,当該面におけるRMGIおよびCRの接着強さはやや上昇するものの非照射面に対するそれよりは低かった。しかし,RMGIの接着強さはCRより接着強さの値は低いが照射条件に関係なく安定していた。 その理由として,接着試験後の破壊形態はRMGI内凝集破壊が多く,また界面においてもRMGI内に亀裂が生じていたがRMGIとレーザー照射象牙質との接合は良好であったことから,種々の歪みの影響は接着界面に及ばずRMGIが緩衝層となっていることが考えられた。 以上のことから,レーザー照射した象牙質に対するレジン接着システムとして,RMGIを用いることの有用性が明らかとなった。今後は,レーザー照射象牙質表層のコラーゲン強化,同部へのRMGIのレジン成分浸透促進ならびに重合促進などを図り,RMGIの接着性向上を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究においては,その実施計画を本科研費の採択内定前からスタートしていたため,内定後もスムーズに進み,ほぼ計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザー照射した象牙質に対するレジン接着システムとして,予想通りRMGIを用いることの有用性が明らかにされたので,今後の研究課題として接着の障害となっている変性層の強化を図ることを中心に遂行する予定である。すなわち,レーザー照射象牙質表層のコラーゲン強化,同部へのRMGIのレジン成分浸透促進,重合促進などを図り,RMGIの接着性向上を目指す予定である。 また,研究協力者の一人が,当該研究課題に関連するテーマで学位(博士)を本年度に取得しており,研究者として独立する能力を身に付けたため,当該研究はなお一層進展するものと期待している。
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