2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K11281
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
小山 典子 朝日大学, 歯学部, 准教授 (60367563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水越 堅詞 朝日大学, 歯学部, 助教 (90631565)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | SHH / EGF受容体 / 分枝形態形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は申請書に記載した研究目的のうち① 培養顎下腺原基の分枝形態形成に対するSHHの影響(至適濃度の再検討) ② SHHによるEGF受容体タンパク質の発現誘導 ③ SHHによるEGF受容体のmRNAの発現誘導について検討を行った. 【研究成果】 ① 胎生13日齢の顎下腺原基に200 ng/ml, 500 ng/ml, 1,000 ng/mlおよび2,500 ng/mlのSHHを作用させ,分枝形態形成へのSHHの影響を検討した.その結果,1,000 ng/mlおよび2,500 ng/mlのSHHを作用させた顎下腺で,分枝形態形成が有意に促進されることがわかった.この結果から,以降の実験で用いるSHHの濃度を1,000 ng/mlとすることにした.② 胎生13日齢の顎下腺に,SHH(1,000 ng/ml)を0, 6, 12, 24および48時間作用させ,タンパク質抽出用の試料とした.回収された試料を用い,EGFR(ErbB1)の特異抗体を用いてイムノブロット解析を行なった.その結果,SHHで刺激6時間後からErbB1タンパク質量の増加と,ErbB1のリン酸化の亢進が認められた.③ 胎生13日齢の顎下腺に,SHH(1,000 ng/ml)を0, 1/2, 3, 6, 12, 24および48時間作用させ,RNAを抽出用の試料とした.回収された試料を用い,リアルタイムPCRを実施した.その結果,SHHでの刺激後,3時間目からErbB1, ErbB2およびErbB3のmRNAが有意に増加することが明らかになった. 【意義・重要性】 顎下腺の分枝形態形成にSHHが関与していること,また,SHHによる分枝形成促進作用に,EGF受容体が関与していると考えられた.このことから,顎下腺の器官形成におけるSHHの重要性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者の協力と研究協力者の助言などにより,おおむね順調に進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果より,SHHは顎下腺の分枝形態形成を促進する作用をもつことが明らかになり,また,SHHにより,EGF受容体の発現が誘導されたこと,さらに,EGF受容体のリン酸化が亢進していることから,SHHによる分枝形態形成促進作用の一部にEGF受容体を介した作用が関与していると考えられたことから,来年度は① SHHによるEGFリガンドファミリーの発現誘導の有無 ② 顎下腺原基から間充織を除去し,上皮のみの三次元培養系を用いてSHHが上皮組織へ直接作用するのか観察する ③ EGF受容体の下流に発現するシグナルの変化を中心に本研究課題を推進していく.
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