2016 Fiscal Year Research-status Report
mTOR阻害に着目した老化防止と健康寿命延長につながる新規口腔癌治療法の開発
Project/Area Number |
15K11292
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
原田 耕志 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60253217)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | mTOR阻害 / 5-FU / 併用療法 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔扁平上皮癌細胞株HSC2をヌードマウス背部皮下に移植して作製した担癌ヌードマウスを対象として、mTOR阻害剤( Rapamycin 、Everolimus、Temsirolimus)と5-FUをそれぞれ単独あるいは併用して治療を行い、その治療レジメンにつき検討を行った。まず単剤の抗腫瘍効果を確認するために、5-FU 10mg/kg/日 週3回投与、Everolimus 5mg/kg/日 週3回投与、Temsirolimus 5mg/kg/日 週3回投与、 Rapamycin 5mg/kg/日 週3回投与の比較検討を行った。上記レジメンでは4週間の治療において、コントロール(未処理対照)群と比較した場合、5-FUは47.8%縮小、Everolimusは43.2%縮小、Temsirolimusは35.4%縮小、Rapamycinは57.8%縮小と、Rapamycinが最も強い抗腫瘍効果を示した。次に5-FUとそれぞれのmTOR阻害剤との併用療法を行いコントロール(未処理対照)群と比較した所、Everolimus+5-FUは52.7%縮小、Temsirolimus+5-FUは46.6%縮小、Rapamycin+5-FUは62.4%縮小と、Rapamycin+5-FUが最も強い抗腫瘍効果を示した。実験期間中および実験終了から3ヶ月間肉眼的に明らかな有害事象を認めなかった。さらに実験期間中、体重変化を観察したところ、上記単剤療法および併用療法では、未処理対照群と比較して有意な体重減少を認めなかった。次にRapamycin+5-FUによる併用効果発現機序の解明を目指しそれぞれの残存腫瘍におけるTUNEL陽性細胞数を検索したところ、Rapamycin+5-FUによる治療を行った残存腫瘍において最も多く観察されたことから、併用効果のメカニズムの一つとしてアポトーシスの増強が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度にin vitroにおいてmTOR阻害剤(Rapamycin 、Everolimus、Temsirolimus)と各種抗癌剤 5-FU、シスプラチン(CDDP)、ドセタキセル(DOC)、パクリタキセル(PTX)、分子標的薬剤(Cetuximab)、放射線との併用処理を行い、それぞれの併用効果を確認した上で、28年度ではin vivoにおいてmTOR阻害剤(Rapamycin 、Everolimus、Temsirolimus)と5-FUとの併用療法を検討し、Rapamycin+5-FUが最も強い抗腫瘍効果を示し、この際明らかな有害事象を認めないことが確認出来た。さらにこの抗腫瘍効果はアポトーシスの増強によることが確認出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はRapamycin+5-FUで担癌ヌードマウスの治療を行い、残存腫瘍における細胞老化(p16)、寿命延長(テロメアーゼ逆転者酵素、sirtuin、PI3K/Akt、p27、p21等)にかかわる因子を検索し、老化防止と健康寿命延長につながるレジメンの開発を行っていく予定である。まず抗腫瘍効果の最大のRapamycin+5-FUのレジメンで検討を行うが、細胞老化の防止ならびに寿命延長への寄与を考慮して、Everolimus+5-FUやTemsirolimus+5-FUのレジメンについても検討を加えたいと考えている。また今年3月に免疫チェックポイント阻害剤が臨床応用可能となったため、mTOR阻害剤に抗PD-1抗体を組み入れた新規レジメンの検討もできればと考えている。
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