2015 Fiscal Year Research-status Report
PD-1を標的としたHDAC阻害剤とOK-432による口腔癌に対する新規免疫療法
Project/Area Number |
15K11293
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大江 剛 徳島大学, 大学病院, 助教 (60432762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉谷 哲也 徳島大学, 大学病院, 講師 (30274236)
高丸 菜都美 徳島大学, 大学病院, 助教 (40513031)
永井 宏和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (50282190)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント / PD-L1 / PD-1 / OK-432 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の免疫療法において、免疫原性の強い腫瘍抗原を持つがん細胞は排除されるが、がん細胞と免疫細胞の共存状態を経て、ゲノム不安定性を基本性質とするがん細胞は、高免疫原性腫瘍抗原の消失、免疫抵抗性や免疫抑制能の獲得により、免疫防御を逃れて増殖すると言われている。そこで、このようながんの免疫抑制機構を解除することががん免疫療法の開発につながると考え、免疫チェックポイントの1つであるPD-L1に着目した。多くの癌細胞はPD-L1を発現することによって、活性化T細胞に発現するPD-1を介してT細胞の機能を抑制し、宿主の免疫監視機構から巧妙に逃れる。 まず、口腔扁平上皮癌細胞株SCCⅦと肺扁平上皮癌細胞株KLN205のPD-L1の発現を調べたところ、SCCⅦには発現せず、KLN205は弱いながらも発現を認めた。各細胞をIFN-γで処理すると、ともにPD-L1の発現を認めた。 次に、SCCⅦ、KLN205の細胞増殖に対する抗PD-L1抗体の影響をMTTアッセイで検討したところ、ともに直接的な増殖抑制効果は認めなかった。 また、次年度の動物実験のために、SCCⅦとKLN205をマウスに移植し腫瘤を形成することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度に口腔扁平上皮癌細胞株SCCⅦと肺扁平上皮癌細胞株KLN205のPD-L1の発現を調べた。さらに、SCCⅦ、KLN205の細胞増殖に対する抗PD-L1抗体の影響をMTTアッセイで検討した。さらに、次年度に動物実験を遂行するための予備実験として、SCCⅦとKLN205をマウスに移植し腫瘤を形成することを確認した。 これにより2016年度に、SCCⅦあるいはKLN205担癌マウスに対して、抗PD-L1抗体やOK-432を用いた実験的治療を行うことができる。 当初の計画とほぼ同程度の進行状況であり、特に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
SCCⅦあるいはKLN205担癌マウスに対する抗PD-L1抗体の抗腫瘍効果を検討する。具体的には、5x10*5で播種し、腫瘤形成後に抗PD-L1抗体(200μg/マウス)を3回腹腔内投与を行う。検討項目として、腫瘍サイズ(短径、長径)、体重、血清中IFN-γ濃度、屠殺後に免疫染色にてIFN-γ、CD3、CD4、CD8、PD-L1、PD-L2、PD-1などの発現について検索する。 さらに、抗PD-L1抗体とOK-432を併用した時の抗腫瘍効果についても検討する。
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Causes of Carryover |
当初、HDAC阻害剤がPD-1の発現に与える影響を検討し、その後、HDAC阻害剤と抗PD-1抗体との併用療法を計画していた。しかしながら、PD-1は活性化T細胞に発現するため、健常人の通常のT細胞には発現していない可能性が高いと考えた。そこで、癌細胞に発現するPD-L1を標的とし、OK-432との併用療法を行うこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はSCCⅦおよびKLN205担癌マウスを作成し、抗PD-L1、OK-432を用いた実験的治療を行う。その際の検討項目は前述の通りである。
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