2017 Fiscal Year Research-status Report
最終糖化産物とインフラマソームの関連から探る糖尿病関連歯周炎の病態
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15K11391
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
板東 美香 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (10510000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 淳一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (10195315)
成石 浩司 徳島大学, 病院, 講師 (00346446)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病関連歯周炎 / 最終糖化産物 / 歯肉線維芽細胞 / 炎症性サイトカイン / インフラマソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
インフラマソームはプロテアーゼの一種であるカスパーゼ-1活性化をひき起こすタンパク質複合体の総称で、細菌などの病原体などの 刺激により活性化され、IL-b,IL-18分泌などを誘導する。インフラマソームにより誘導されたこれらの炎症誘導性サイトカインは、他の免疫細胞の活性化やTNF-a, IL-6などの炎症性サイトカインの誘導を促進する。本研究は最終糖化産物(AGEs)とインフラマソームとの関連からみた糖尿病関連歯周炎の病態解明とインフラマソームを介した炎症増悪化の抑制方法の探索を行うことを目的とした基礎研究である。すなわち歯周組織の細胞において、糖尿病合併症の原因の1つとして知られるAGEsの単独あるいはP-LPSのような歯周病原因子やカルプロテクチンのような炎症起因物質との複合添加により、インフラマソームを誘導し、酸化ストレスやNF-kBの活性化などを介して炎症性の増悪化に影響を与える可能性について検証を行う。平成27・28年度では歯周組織細胞にAGEs単独あるいはP-LPSやカルプロテクチンを複合添加し、インフラマソームの構成因子やIL-1b・IL-18の発現を調べた。歯肉上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞、単球ではインフラマソーム関連因子が発現するが、歯肉線維芽細胞ではその発現はほとんど認められなかった。しかし、歯肉線維芽細胞においてはAGEsおよびP-LPSが酸化ストレス反応を引き起こし、IL-6やICAM-1を増加させることを見出した。平成29年度では歯肉線維芽細胞におけるAGEsがp38, ERK,NF-kBを介してIL-6,ICAM-1の発現を調整することやAGE誘導性IL-6がICAM-1の発現を増加させることにより、炎症担当細胞である単球の歯肉線維芽細胞への接着を促進することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きなテーマであるインフラマソームについては、歯肉線維芽細胞では発現がほとんどなく、AGE、P-LPS、カルプロテクチン、ATPなど様々な刺激でも反応が認められなかった。さらに発現の認められた口腔上皮細胞においても様々な刺激下においてもインフラマソーム関連因子の発現変化は認められなかった。 しかし、インフラマソームと関連して発現すると予測していた酸化ストレスや炎症性物質(IL-6やICAM-1)はAGE刺激下で増加し、さらにその調節にMAPK、NF-kBが関与することが明らかになった。また歯肉線維芽細胞がICAM-1を発現することで炎症担当細胞である単球の接着を誘導することでさらに炎症増悪化が起こる可能性を見出した。糖尿病関連歯周炎の病態解明という点では、AGEによる炎症悪化のメカニズムをさらに詳細に調べていくことはこの研究課題の目的と相違ないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
インフラマソーム関連因子については引き続き他の細胞や刺激するものを変更し、実験を行っていく予定である。 並行して歯肉線維芽細胞でのAGEが炎症性サイトカイン発現に及ぼす影響とその作用機序を解明するとともに、AGE誘導性の炎症反応を抑制する方法について調べる。具体的には歯肉線維芽細胞にAGE受容体であるRAGE阻害や酸化ストレス阻害として種々の抗酸化剤を作用させ、AGE誘導性の炎症性サイトカイン産生への影響を確認する。今後も糖尿病関連歯周炎の病態解明と新しい予防や治療の開発の一助となるような研究を目指す。
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Causes of Carryover |
当初予定していたマイクロアレイ解析を行わなかったため次年度使用額が生じた。 次年度も実験計画からマイクロアレイ解析を行う予定はないが、次年度使用額と翌年度分として請求した助成金と合わせて、細胞培養関連、RNA抽出、タンパク実験(ELISA Kit)などの消耗品、学会発表のための旅費や論文投稿費などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)