2016 Fiscal Year Research-status Report
歯周病におけるメラトニンの役割解明および治療への応用
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15K11392
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
細川 育子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (50707908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (00217770)
細川 義隆 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (90346601)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯周炎 / メラトニン / TNF-α / CXCL10 / MMP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
メラトニンは松果体から分泌されるホルモンであり睡眠リズムの調節に働いているのみならず、抗炎症作用、抗酸化作用など多種多様な生理活性作用がある事が明らかとなっている。近年、歯周炎病変局所でもメラトニンの存在が報告されていたため、メラトニンが歯周炎病変局所で抗炎症作用を発揮しているのではないかとの仮説のもと、昨年、メラトニンはInterleukin (IL)-1βが誘導するCXC chemokine ligand (CXCL)10およびmatorix metalloptoteinase (MMP)-1産生を抑制できることを発見し、inflammation誌(39巻4号、1520-1526頁、2016年)に発表した。しかしながら、IL-1β以外のサイトカインが誘導する炎症性メディエーター産生に与えるメラトニンの影響は明らかとなっていなかった。そこで、今回は歯周炎での発現が報告されている炎症性サイトカインの一つであるtumor necrosis factor (TNF)-αに着目し検討を行った。 TNF-αはヒト歯根膜由来細胞(HPDLC)のCXCL10ならびにMMP-1産生を誘導した。メラトニンはTNF-αが誘導したHPDLCのCXCL10ならびにMMP-1産生を抑制した。 この結果よりメラトニンは歯周炎病変局所においてIL-1βが誘導するケモカインやMMP産生だけではなくTNF-αが誘導する炎症性メディエーター産生も抑制しうる事が明らかとなった。ゆえにメラトニンは炎症局所において炎症性細胞浸潤や細胞マトリックス分解を抑制し、歯周炎の発症や進行を抑えている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに炎症性サイトカインが誘導するケモカインならびに細胞マトリックス分解因子の歯根膜由来細胞からの産生をメラトニンが抑制できることを発見し、そのデータの一部をInflammation誌に発表した。ゆえに本研究課題はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在はIL-1βおよびTNF-αが誘導するケモカインおよび細胞外マトリックス分解因子の産生を抑制できる事を明らかとした。本年度はさらに多種の刺激因子で歯根膜由来細胞を刺激し産生誘導された炎症性メディエーター産生に与えるメラトニンの影響を確認する予定である。また、歯根膜由来細胞だけでなく歯肉線維芽細胞や歯肉上皮細胞の炎症性メディエーター産生に与えるメラトニンの影響も確認する予定である。
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Causes of Carryover |
当初、参加予定であった学会に参加できなかったこと、購入物品の価格が大きくディスカウントされていた事、すでにストックされていた試薬があり購入する必要がなくなったことが次年度使用額が生じた理由と考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年は国内および国外の学会に積極的に参加し実験結果を公表することにより旅費として研究費を使用する予定である。また、論文投稿も行い、論文投稿料ならびに英文校正料に研究費を使用する予定である。使用する細胞および刺激する物質の種類を増やし、多種の試薬を購入する予定である。
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