2015 Fiscal Year Research-status Report
学生の確実な看護技術習得をめざした『自己評価・学習システム』の開発
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15K11532
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
徳永 基与子 京都光華女子大学, 健康科学部, 准教授 (20381709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前迫 孝憲 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00114893)
若村 智子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40240452)
山口 曜子 京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (50381918)
阿部 一晴 京都光華女子大学, キャリア形成学部, 教授 (60340452)
平野 加代子 京都光華女子大学, 健康科学部, 助教 (90610270)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 看護技術 / フィードバック / eラーニング / 他者評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,看護技術の到達度の判定基準作成及び学習コンテンツ並びにシステムの整備を中心に研究し,その成果を論文として発表した.今年度の補助金は,主にこの研究を遂行するための文献及びコンテンツ作成のためのパソコンや周辺機器の購入費に充てられた. 本学習システムの効果についての論文は,『教育システム情報学会誌』第33号に掲載された.この発表及び論文では,他者評価及び教員によるフィードバックを取り入れた看護技術習得への効果を検討した.結果,他者評価及び教員による誤りを提示する動画のフィードバックにより,学生は自己評価の甘さに気づき,その結果,自己学習における練習時間数の増加につながっていることが明確になった.批判的フィードバックに相当する他者評価では,学生の行動修正に与える影響を検証することで,効果的なフィードバックが可能になることが示唆された.なお,今研究を遂行するにあたり,補助金を用いて看護技術に関連する文献(教本を含む)を多数購するとともに,動画の編集専用のパソコン及び周辺機器を購入した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)看護技術別の到達度の判定基準の作成.①対象の看護技術の選定:厚生労働省の「看護師教育の技術項目と卒業時の達成度」から看護技術を選定し,さらに学生が卒業時に一人で提供できるレベルの看護技術の中で,卒業時点でも苦手と感じる技術、「清潔援助」「体位変換の援助」を選定した.②対象の看護技術の評価観点と基準の設定:看護技術系の書籍を分析し評価観点を設定し,ルーブリックの評価表を作成した.③作成した到達度の判定基準に基づき,所属大学のLMS(Learning management system)内にデーターベースを作成・保管した.(2)自己評価システムの開発.①動画配信:ロイロノートで撮影した学生の動画を教員が学内サーバーに登録し直接保存できるようシステム改善を実施予定であったが,ロイロノートの開発が進行し,クラウド内に保存可能となったためこのシステムを活用した.②自己評価システム:(1)の判定基準に沿ったルーブリックの評価を活用し,この評価内容をLMSに組み込むことで,簡易に学生の到達度の把握も可能となった.(3)自己学習支援システム.実践動画や看護技術資料等の学習コンテンツの開発をした.実践動画は,協働学習を支援する内容で検討し作成した.学習履歴の一元管理は学内LMSにより可能となり,試用運用にて活用できることを確認した.(4)検証計画の作成.平成28年度より学生に本システムを利用してもらい,看護技術習得の向上を検証するため,方法/手順/環境準備等の計画を作成した.特にLMSの運用には,試用で判明した不具合や学生アンケートの結果を踏まえ,システム担当者と調整し改善を図った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は平成27年度に作成した計画に従って検証を進める.検証の対象者は基本的にスマートフォンを活用するが,必要な学生にはiPadを貸し出す.また検証の円滑な進行にむけ,次の支援体制をとる.①教員による助言:教員は学生の学習履歴を閲覧し,適宜アドバイスし,疑問に答える.②再演習の指導体制:学生の学習履歴より再演習が必要な対象者には,適宜実習室が使用できる体制を確立する.③フォローアップ体制の確立:自己評価システムからeラーニングを実施しない対象者の把握と,その対策を実施.④看護技術の習得度の確認:教員による確認.複数の教員による評価の整合性の保持するため,一定レベルの運用手順書を作成し評価を実施.評価内容は事前に作成したルーブリックにより評価を実施する. 検証の結果は,国内外の学会にて発表する予定である.
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Causes of Carryover |
本年度の研究成果を国内外に発信するための論文投稿費,さらに学習コンテンツの追加補充に伴う開発費が必要となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の試用による相互評価並びに学習コンテンツの学習効果について論文化し、7月までにオープンジャーナルに投稿予定である。 必要となる学習コンテンツを7月までに追加開発し,9月以降に活用する予定である。
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Research Products
(2 results)