2016 Fiscal Year Research-status Report
妊婦を対象とした「災害への備え」を促す介入プログラムの効果検証
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15K11558
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
渡邊 聡子 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 客員研究員(研究員) (00382268)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 災害への備え / 妊婦 / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、妊婦の災害への備えを促進するために、妊婦とその夫/パートナーを対象にプログラムを提供し、災害への備え行動ならびに知識に関する仮説を検証することであった。 本研究は、無作為割り付けによる介入研究であった。介入群にはH27年に開発したプログラムを提供した。プログラムは、妊娠期から育児期における健康の観点からの災害への備えに関する教育内容と、知識の習得(自己学習と復習-講義の受講-)、知識を活用した演習、自宅での取り組み、参加者間の情報交換と共有、ならびに夫婦での参加という教育方法を一つのパッケージとして含めた。一方、対照群にはプログラムで使用した冊子のみを配布した。プログラムの効果はH27年に作成した質問紙を用い、備え行動(38項目)、備蓄(118項目)と持ち出し物品(115項目)の保有数、災害への備えに関する知識(23項目)を測定した。調査は、プログラム受講前、プログラム受講1か月後、ならびに3か月後に行い、分析は2群間ならびに前後比較を行った。さらに、プログラムを受講した妊婦と夫が、何をどのように備えたかについて、備えの要素別の分類、ならびに、情報交換・共有で語られた内容の質的分析を行った。本研究は、所属教育機関の研究倫理委員会の倫理審査を受け、承認を得て実施した。 研究協力者は61名であった。内訳は、プログラムに夫婦で参加し、3回の質問紙調査に回答した介入群が21名、教材の冊子のみを受け取り、3回の質問紙調査に回答した対照群が45名であった。初回調査時において、基本属性およびいくつかの項目で有意差が認められたが、分析の段階でこれらの影響を排除した。分析の結果では、災害への備え行動(35項目)、備蓄品ならびに持ち出し物品の保有数、災害への備えに関する知識について、プログラムを受講した介入群がより多く備えており、統計的に有意差が認められ、仮説は概ね検証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に研究が進展しており、概ね期待通りの成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、研究結果を研究協力者にフィードバックすることに加えて、本研究で得られた成果を国際学会(International Nursing Research Conference)にて発表し、また、学会誌に投稿していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では調査地域を4地域を想定していたが、1地域で調査を実施した。また、予定していた国際学会に参加することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、国際学会での発表、学会誌への投稿を行うため、学会参加費、旅費、ポスター作製費、校閲費用、書籍代としての使用を計画している。また、研究参加者に結果をフィードバックするための、文具、郵送費の使用も計画している。
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