2015 Fiscal Year Research-status Report
ストレングスに焦点をあてた生活習慣病予防保健指導プログラムの開発
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15K11849
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岡久 玲子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (80515619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 里織 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (20321276)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ストレングス / 生活習慣病予防 / 保健指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地域住民のもつ力や強さ(以下、ストレングス)に焦点をあてた生活習慣病予防保健指導プログラムを開発することである。 平成27年度は、第一段階「ストレングス概念の明確化」のために、①ストレングス測定尺度(Strengths Measurement Scale;SMS)を用いた国内外の調査に向けた準備と、②類似概念“レジリエンス”との比較・検討によるストレングス概念の枠組み構築を行った。 まず、SMSを用いた国外調査の準備として、本研究者と研究分担者でフィンランドに出向き、研究協力者(看護学を専門とする研究者)とディスカッションを行った。研究計画(案)を示し、研究目的の共有と対象者、調査方法等について話し合った。帰国後は、その内容を踏まえた研究計画書の修正、研究説明文書及びアンケート用紙の英語版への翻訳、本研究者所属の倫理審査委員会への申請を行い承認を得た。国内調査の準備としては、対象者の背景を広めたSMSアンケート調査の実施について、特定保健指導を実施している機関の保健師に意見をもらい、被扶養者も対象に含めた調査へと研究計画の見直し・修正を行った。 類似概念“レジリエンス”との比較・検討によるストレングスの概念枠組みの構築については、本研究者らが実施した、平成26年度児童福祉問題調査研究事業 研究課題名「レジリエンス概念による育児支援確立のための育児支援ニーズ及び支援状況に関する調査研究」で明らかになったレジリエンスの内容と、SMS開発時に明らかになったストレングスの内容を比較・検討し、二つの類似概念の位置づけを考察することでストレングスの概念枠組みの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は、平成27年度に、保健指導対象者の自己評価尺度であるストレングス測定尺度(SMS)を用いた調査を国内外で実施し、保健指導対象者のもつストレングスの特徴からストレングスアセスメントの項目を抽出する計画であった。 しかし、国外の調査については、フィンランドの研究協力者との意見交換を踏まえた研究計画書の見直し・修正、さらに、双方の確認・修正の上での合意が必要になったため、調査実施は平成28年度へと予定を変更した。国内の調査においては、実際に現場で保健指導に携わっている保健師の意見を踏まえて、新たに調査対象に被扶養者を加えるよう計画を見直した。健診の待ち時間を利用した調査が可能であり、次回平成28年度の健診時に協力を得られることになった。 以上のように、SMSを用いた国内外での調査に関しては、専門家・実践家の意見をもとに計画を見直し修正を加えることができた。そのため、当初の予定より研究課題の進捗状況は遅れることになったが、調査をスムーズに効果的に実施するためには準備段階が重要であり、今後につながる必要な過程であったと考える。 また、当初の計画では、上記の調査結果から明らかになったストレングスの特徴も踏まえて、ストレングスアセスメントシートの項目を抽出する予定であった。このことについては、調査は平成28年度に実施することになったが、当初予期していなかった、類似概念“レジリエンス”の概念との比較・検討により、ストレングスの概念枠組み構築ができ、根拠のあるストレングスアセスメント項目の抽出が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、本研究課題は、1年目の平成27年度にストレングス測定尺度(SMS)を用いた国内外での調査研究、2年目に保健指導者側が用いる保健指導ツールであるストレングスアセスメントシートの開発、3年目に、ストレングスアセスメントシートを用いた生活習慣病予防保健指導の実施を行う計画であった。 しかし、調査研究の準備段階に時間がかかったため、今後の推進方策としては、2年目の平成28年度に、国内外のSNSアンケート調査の実施と、ストレングスアセスメントシートの開発を進める予定である。 研究計画の変更により、平成28年度の内容が過密になった感は否めないが、具体的な研究スケジュールの再調整と研究協力者との密なコミュニケーション・連携により対応可能であると考える。また、ストレングスアセスメントシートの作成、妥当性と信頼性の検証の過程に入れば、3年目に実施予定のストレングスアセスメントシートを用いた保健指導も視野にいれながら進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当初、平成27年度に予定していたストレングス測定尺度(SMS)を用いた国内外での調査研究が実施に至らなかったためである。フィンランドの研究協力者との意見交換を踏まえた研究計画書の見直し・修正、さらに、双方の確認・修正の上での合意が必要になったため、調査研究の準備段階に時間がかかり、調査の実施は平成28年度へと予定を変更した。 そこで、2年目の平成28年度は、最初の計画の第二段階「ストレングスアセスメントシートの作成」と共に、平成27年度に実施できなかった国内外のSNSを用いたアンケート調査を実施することになる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、平成27年度に実施できなかったストレングス測定尺度(SMS)を用いた国内外でのアンケート調査にかかる経費として、アンケート調査用紙、封筒、郵送費、資料保存とデータ分析に必要な物品類、データ整理・入力補助者への謝金等に使用する。 平成28年度分として新たに請求した助成金は、最初の計画通り、保健指導者用 保健指導ツール「ストレングスアセスメントシート」の作成にかかる費用として、グループインタビュー必要なICレコーダ、ビデオカメラ、SDメモリーカード、案内・当日配布資料、参加者への謝金などに使用する。また、データ分析に関しては専門業者へテープ起こし・逐語禄作成を依頼する。さらに、国内外のアンケート調査の成果発表のための旅費も計画に入れる。
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Research Products
(1 results)